「ミカコ・ナカムラ」(中村三加子)の16~17年秋冬コレクションは、「タイムトラベラー」をテーマにして、過去から見た未来感覚の素材や、過去と未来を考えることで見えてくる手のぬくもりの魅力を盛り込んだ。スペースルックを生んだ60年代の雰囲気を感じさせる。
目を引くのは、カシミヤのボンディング生地のパネルを一つひとつ金具でつないで作ったコート。レトロフューチャーとも言えそうだが、計算されたシルエットと上質なカシミヤの深みに、クチュールブランドらしいしっとりした雰囲気がある。新しく取り入れた色はアポロオレンジとラピスブルーで、これもケミカルなようで深い広がりがある表情だ。
ラピスブルーに染めたカシミヤヤギのファーコート、アポロオレンジでトリミングした透明PVCのジャケット、オフホワイトを加えて3色で幾何学的に切り替えたドレスなどがある。同じ色のフォックスファーのバングルやボリュームたっぷりのショールなどアクセサリーも気が利いている。
ソワレは今回、繭のような形で、やっぱりどこかスペーシーなデザインだ。ソワレを求める客は増えているという。