23~24年秋冬ミラノ・メンズコレクション ボディープライズの流れがメンズにも

2023/01/17 07:58 更新有料会員限定


 23~24年秋冬ミラノ・メンズコレクションは、男性のボディーを意識したスタイルが広がっている。ウィメンズのトップトレンドとして継続しているボディープライズ(体への称賛)は、メンズファッションへと波及している。それはジェンダーフルイドを背景にしているようでもあるが、男性のグラマラスを強調しているようでもある。

 ミラノ・メンズコレクションは、メンズのスケジュールに復帰したグッチのショーで開幕した。昨年末のアレッサンドロ・ミケーレの突然の退任により、デザインチームでの発表となった新生グッチの方向性に注目が集まっている。

 グッチの会場に入ると円形のステージ、それを取り囲むような円形の客席という設定。ショーはバンドのセラミック・ドッグのライブパフォーマンスとともにスタートした。ジャズやパンクの要素を取り入れたノイズロックと称される即興のパフォーマンスと新作のコレクションが響きあうような見せ方を目指した。

グッチ

 透明感のある白いTシャツにキャメルカラーのワイドパンツ、チェスターコートとワイドパンツの組み合わせも、クリームイエローやパープルといった軽やかな色使い。優しいパステルカラーの柔らかなフォルムで始まったショーは、ゆったりとしたテーラードスタイルへと続く。その焦点となるのはジェンダーをめぐる表現の変化。ミケーレ時代のジェンダーフルイドとは異なり、マスキュリンとフェミニンの間のバランスを確かめるかのように、その要素はスポーツの中に秘められた。

グッチ
グッチ

 例えば、テーラードスタイルの中に着るのはデコルテをあらわにした白いインナー。Uネックあるいはワンショルダーのようなデザインで胸元を見せる。タイツにハイソックス、ブーツといったボトムスタイルは80年代の映画「フラッシュダンス」のようなダンサースタイル。そんなダンサースタイルに、肩が丸いボンバージャケットを合わせてミケーレとは違うジェンダーバランスの在り方を表現する。

 きらびやかなスパンコールやたくさんのモノグラム柄など、手仕事とアーカイブを生かしながら、モータースポーツの軽快なイメージも含めて軽やかな方向を感じさせる。ただ、誰か一人の強力なディレクションとは違い、チームでの発表のせいか、その方向性はまだぼんやりとかすみがかかっている。

 ここ数シーズン、アーカイブを背景にしたコレクションを発表していたドルチェ&ガッバーナが、久しぶりにエッジの利いたショーをした。テーマは「ESSENZA」(エッセンス)。それはドルチェ&ガッバーナの本質だという。ワントーンのスタイルや黒、スレートグレー、白に絞って、カットの美しさを強調する。

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