ハンドメイド市場が活況だ。自由な発想で生み出されるユニークさが作品の魅力。たくさんの作品の中からお気に入りを探し当てる楽しさが消費を喚起している。3月末、GMOペパボ(東京)がさいたまスーパーアリーナで「ミンネのハンドメイドマーケット2019」を開き、2日間で3万2000人以上が来場した。
(小堀真嗣)
羊毛フェルト作品人気
来場者はハンドメイド市場の主要な消費者層である女性のグループが中心。ベビーカーを押しながら歩く夫婦から中高年の夫婦、親子連れ、若いカップルなども目に付いた。約1000人の作家が出展、そのうちの半数近くをアクセサリー作家が占め、バッグや財布、革小物類、アロマ・キャンドル、フラワー、陶器など食器類、文房具やアート関連の作家も多い。来場者を引きつけていたのは、羊毛フェルトを使った動物やキャラクター。羊毛フェルトの作品は根強い人気がある。
最も注目されたのはユココカフェさんの作品。ハリネズミやライオンなど本物のような仕上がりで、一目見ようと来場者の行列ができた。フラッフィーさんは小さな動物を作ってブローチやチャームなどのアクセサリー(中心価格1600円)を出した。トリマーだった経験を生かし、動物の特徴を再現しつつかわいらしく仕上げた。来場者が切れ目なく訪れ、「陳列を直せないくらい忙しい」状況が続いた。
羊毛フェルト以外でにぎわっていたのは、ユニークなキャラクター「ルルさん」のぬいぐるみを作る、おおがなおとさんのブース。小さいサイズだと3000円台から。ピンバッジやスマートフォンカバー、ポストカードなど商品バリエーションを豊富に揃えた。〝へんてこもの製作者〟として活動しているむにゅさんは、カラフルなボアをあしらったぬいぐるみなどのグッズを作っている。若いカップルはブローチタイプ(1200円)をギフト用に購入した。
各種ワークショップ(参加料金は1000~7000円)も盛況だった。フラワーアレンジやハワイアンオーナメント、真鍮(しんちゅう)アクセサリー、コケのテラリウムなどを作るワークショップを実施。30分から1時間で作れるリーズナブルで手軽な企画の人気が高かった。
企業も出展
企業ブースもにぎわった。包装資材のシモジマは、会場で購入した作品をセルフラッピングするためのグッズを無料で提供した。セイコーエプソンはプリンター、ブラザー工業は刺繍ミシンやラベルライターなどを体験できるブースを設け、マーケティングの場としてエンドユーザーと交流した。
来場者が作品を購入する場合、現金払いが多いものの、「電子マネーやQRコードなどキャッシュレス決済に対応できるシステムを備えた作家が増えていた」とGMOペパボ。同社が作家に推奨したわけではなく、作家が利便性や消費者動向から主体的に導入しているようだ。
■ミンネ
ハンドメイド作品のオンラインマーケット。登録作家数は約50万人、作品数は約940万点、年間流通額は約120億円。13年11月にアンドロイドでアプリを提供し、ダウンロード数は昨年10月に1000万を超えた。ユーザーの3分の2はアプリ経由で購入しているという。ミンネのハンドメイドマーケットは今回で4回目。前回までは「日本ホビーショー」(会場は東京ビッグサイト)と併催で、今回が初の単独開催だった。