婦人服専門店の三鈴は、デジタル戦略を強化している。自社ブランド「ルゥデ」秋冬物では、インフルエンサーによる初めてのPR販売イベントを開いた。業務提携するIT系ベンチャー、アパテックジャパンのサービスを活用したもの。
ルゥデは20代後半から30代の働く女性のエレガントなウェア。元々は通勤着が中心だった。「従来のインフルエンサーを活用したPRの進化形で、〝バーチャル販売員〟として自身のファンへ直接販売も可能。これまでブランドがアプローチできていなかった客層にもリーチでき、認知度向上に有効な手法」(大島宏史社長)。今後、中国など海外のインフルエンサーとも取り組めれば新たな販路の拡大にもつながると見ている。
これまではアパテックジャパンのAI(人工知能)合成画像やオンライン着せ替えなどのサービスを使い、店頭からECへの送客を強めてきた。AI合成画像は提携事務所所属の3000人からモデルを選び、ブランドの服を着た画像合成が可能。ECやカタログ、SNS投稿用画像作成サービスもある。衣料品と体形に関するビッグデータとAI技術の活用で、撮影などEC業務の手間とコストを大幅に削減できる。
オンライン着せ替えでは、バーチャルでも自由にコーディネートを楽しみながら着用イメージを確認できるため、ECの付加価値も高まり、返品率も激減するという。
同社は創業50年を超える婦人服専門店。関東・東北を中心に全国で実店舗26店と自社ECサイトを運営し、外部ECモールにも出店する。EC比率は約15%だが、デジタル化の加速で拡大の余地があるとみている。「将来的には両社の新たな取り組みとして、デジタル無人店舗にもチャレンジしたい」(大島社長)考えだ。