学生時代にオートクチュールの世界に触れ、「作り手と客の近さ」や「職人の技術の高さ」に感銘を受けたデザイナーの鈴木美津子さん。現在、横浜のアトリエで「ミツコスズキ」ブランドとしてオーダーメイドの服作りをしている。
鈴木さんは専門学校を卒業後、当時、日本で唯一オートクチュール協会に加盟していたデザイナー、森英恵の企画室に入り、デザイナーとして経験を積んだ。専業主婦の期間を経て、アパレルメーカーの企画の手伝いや百貨店のオーダーサロンで仕事を再開し、現在は自身のブランドに専念している。
オーダーメイドは敷居が高いと感じる人が多いが、鈴木さんが目指すのは「レッドカーペットのオートクチュールではなく、タウンのオートクチュール」。会話の中から客の好みやライフスタイルを知り、採寸し、デザインを決め、仮縫い、と、コミュニケーションに時間をかけ、希望に沿ったデザインやサイズの服を作り上げる。「既製服に違和感を覚えていた人の不満が解消されたり、服への愛着が沸くのがオーダーのメリット」と鈴木さん。長く大事に着るため、エコロジーにもつながる。