創業116年の神戸の老舗婦人服専門店、ブティックセリザワの4代目である芹澤麿衣さんがディレクションするレディスショップ「モンストーク」は先月、六本木ヒルズで一夜限定の新作受注イベント「モンストークリミテッドサロン」を開いた。
モンストークは結婚、出産を経験した芹澤さんが「ママでもいい女」をコンセプトとするエレガンス服を生産・販売するために、ブティックセリザワ本店の半分を改装して14年に開店した。芹澤さんが考える〝現在の神戸エレガンス〟を軸に、上品で、女性らしさを大切にしたドレス中心のコーディネートを提案する。
ドレスやトップを中心にシーズンあたり40型前後の新作を出すコレクション、子供の送迎などで着るネイビー、フォーマルの三つのラインがある。ドレスの中心価格帯は6万円台。国内生産にこだわり、上質なレース、白襟の多様な組み合わせと、ウエスト位置の高いフィット&フレアのシルエットを基本とする。気張らずに着られるドレスとして、スニーカーにも合わせられるのが特徴だ。
ミセスの顧客が多いブティックセリザワに対し、モンストークは「自分たちの時代のセリザワ」。神戸で活躍するミュージシャンやフラワーショップとの協業イベントやネットショップを通じて20~30代の顧客を広げてきた。顧客との交流イベントは、これまで神戸を中心に関西で開いてきた。ネットショップの購入者の半数以上が東京在住者であることから、首都圏のファンが新作に触れる機会を作りたいと、初めて東京でイベントを開いた。神戸のショップがサロンとして定着したことから、イベントは今後、東京を中心に続けたいと考える。
今回のイベントでは19年春夏コレクションを2人のモデルが1時間ごとに着替えて会場内を回遊。神戸のフラワーショップ、ボンシックボングーのスタッフが生花で会場を装飾し、歌手の小関ミオさんらのトリオで演奏するフレンチジャズをBGMに、神戸のイメージを演出した。インフルエンサーやメディア関係者を含む約300人が来場。うち7割が購入した。
顧客との距離を縮めるために対面を重視し「女性の心を変える服の価値、物作りの大切さや職人の思いも伝えたい」と芹澤さん。そのために「本当に着たい服やシーンなどのイメージをさらに研ぎ澄ませたい」という。