ニットウェアを企画・製造・販売している月城ニット(大阪府岬町、月城亮一代表)は、20年春に立ち上げた自社メンズブランド「ムーンキャッスル」の卸先を着実に増やしている。定番的なデザインで素材からこだわり国内自社工場で生産、買いやすい価格で提案しているのが大きな強みだ。自社EC、卸、そしてOEM(相手先ブランドによる生産)の3販路で、引き続き売り上げ拡大を目指す。
(小畔能貴)
サマーニット好評
同ブランドの生産を担う月城(同、月城次啓社長)は66年創業で、90年に自社工場も開設。月城では主にミセス向けニットの製造・販売をしている。17年に3代目にあたる月城亮一さんが実家に戻り、新たなチャレンジとして自社ブランドを立ち上げることにした。
メンズを立ち上げたのは、月城さんが「自ら着たいものを追求する形で提案したい」と考えたことと、「トレンドに左右されやすいレディスに比べ、定番品に取り組みやすい」と思ったからだ。
ムーンキャッスルはまず、テストマーケティングも兼ねてクラウドファンディングから挑戦した。接触冷感機能を持つスイスの「アイスコットン」を使い、夏でも涼しく、フォーマルなシーンでも着られるサマーニットを開発。2カ月間で目標金額を大幅に上回る1000万円以上の応援購入総額になった。その後はECを主体に販売していたが、より安定した売り上げと生産計画を実現するため、卸も始めた。それに伴い21年2月に月城ニットを設立した。
海外から問い合わせ
代表商品のサマーニットは、袖口や裾、襟がリブ編みになった半袖クルーネックで税込み8000円。襟がポロになったものもある。21~22年秋冬物では、きれいめに着こなせるウールのタートルネック長袖(9900円)やカシミヤ100%のスカーフ感覚のマフラー(8250円)などを用意。タートルネックはジャケットとも合わせやすいシルエットで、イージーケアも可能だ。クルーネックなど計4型ある。マフラーは、量感のある素材で、コンパクトで使いやすい仕上げになっている。
合同展にも出展し、現在の卸先はセレクトショップを中心に40軒になった。ある程度在庫を持ち、期近や期中で対応できる点も強みになっている。卸先が増えたことで、自社ECの手応えも広がった。
今後は「ブランド売り上げでまず3億円を目指したい」考え。期間限定店での取り組みも意欲的に進めている。海外セレクトショップからの問い合わせもあるため、「コロナが終息したら海外出展なども考えてみたい」という。