福岡のEC専業アパレルメーカー、ミスアイディ(仲地沙織社長)が事業を拡大している。主力のレディスアパレル「セレクトモカ」を軸に、前期の売上高は前年比1.5倍の15億円となった。シンプルながらもひと癖あるデザインと手頃な価格に加えて、コーディネート提案や客とのコミュニケーションでSNSをフル活用しているのが強みだ。
(藤川友樹)
同社は13年2月設立。セレクトモカは20代後半~30代前半の「ちょっと先を行くおしゃれに敏感な人」をターゲットにしている。売り上げ構成比はゾゾタウンが8割、自社ECが2割。ゾゾタウンには16年から出店しており、19年3月には大手セレクトショップがひしめく同サイトのブランドランキングで24位になった。基本はECのみの販売だが、認知度を高めるためにルクアイーレや名古屋パルコなど全国の商業施設で期間限定店の実績があり、今年は東京でも予定する。
毎月60型の新作を販売している。初回生産量は抑え、完売した商品は予約販売で追加発注量を決めることで、可能な限りプロパー販売を意識する。商品企画は仲地社長のほか、自社のデザイナー1人、パタンナー1人の計3人が中心を担う。特に客の支持が厚いキーアイテムはトップで、4000~5000円台。
ファン作りを徹底
毎月投入する新作は全てインスタグラム、LINEやツイッター、メールマガジンなどで紹介しており、「SNSをどう活用するかがカギになっている」という。特に力を入れるのはインスタグラムで、商品画像をただ載せるだけでなく、少なくとも月3回はスタッフによるライブ配信を実施。デザイナー自身によるこだわりポイントの解説や、実際に着用したときの生地の感触やコーディネートを提案している。30分~1時間ほどの動画は配信後も視聴することができ、1万回近く再生されることもある。
インスタグラムの商品画像や動画を経由して寄せられる客の要望やコメントにも可能な限り応え、ファン作りを徹底しているのもポイントだ。スタッフが使用している口紅の品番など商品と直接関係ない問い合わせにも答えたり、コーディネートに迷っている客には様々なアイテムとの組み合わせをスタッフが実際に着用した画像を送るといったように、コミュニケーションを重視している。
愛着を強める
SNSで発信するスタッフの熱量を高めようと、現在は「社員の自社ブランドへの愛着を強めるため、ブランドをリブランディングしているところ」。これまで価格帯ありきだった商品企画を見直し、来春をめどに2000円ほどプライスライン(中心価格帯)を高める考えだ。
国内にとどまらず、今後は越境ECの取り組みも強める。越境EC支援のカフェ24ジャパンのプラットフォームを利用して、17年3月に韓国で販売を開始、今年4月には中国のTモールにも出店している。