昨年12月半ばに、台東区蔵前にオープンした「ネオテニー」は、欧米ファッションの古き良き魅力を伝えるビンテージショップだ。古着を扱う大手企業の新規事業として立ち上げ、古いビル1棟を使った4フロアで品揃えしている。
「古着って、ブランドも大事ですが、形や質感の面白さが備わっているから売れるんです」と店長兼バイヤーの丸山泰平さん。入り口の脇で女性客を引き付けるのは、色彩にあふれたモヘヤのセーター。気持ちの上がるテクスチャーで衝動買いを誘う。1階のメインのフロアは約40平方メートル。ゆとりのある空間で1点1点の個性に興味を持ってもらえるように陳列している。
丸山さんは古着の買い付けや卸を担当して10年、その経験を生かして社内起業をしないかと社長に押され、コンセプトや立地など自ら考えて出店に至った。蔵前を選んだ理由の一つは、古着のイメージが無いエリアで、カフェや小物雑貨店などと街歩きの一環で楽しんでもらいたいからだ。もとは玩具の問屋だったビル1棟の物件に出合い、広い環境で商売ができることも決め手となった。
これまでの知見で、古着として売れる要素は統計的にも感覚的にも身に着いている。仕入れは通常、米国を拠点にしているが、「欧州製品もミックスして、変化を出したい」と、準備に当たってドイツを回った。米国のサーフブランドでも、欧州製だと「ペール系などで柔らかな印象がある。シャツも裾がラウンドカットの米国製に対し、欧州製は直線裁ちが多い。着こなしに幅が出るし、雰囲気の異なるものが混ざったバランスを大切にしたい」。
中2階ではビンテージのブランド価値のあるアイテムを扱う。米「ペイデイ」のワークウェアや英「バーバリー」のトレンチコートなど、古着になじみがない人でも、ワードローブとしての取り入れやすさを配慮してセレクトしている。地下の1室では、陶器やシルバーのアクセサリーを扱っているが、今後は「作家の個展などイベント的なこともやっていく」考えだ。