西陣織のバスが京都を走る 地元の学生がデザイン

2017/09/25 04:30 更新


 若者の感性を加えた伝統織物が京都の街を走る――京都精華大学は、西陣織工業組合および京都市交通局と連携し、内外装に学生がデザインした西陣織の装飾を施した「ニシジンバス」を完成した。今月3日から京都市内で実際に運行を開始、18年3月まで走る。

(小畔能貴)

 今回のバスは、西陣織が17年に発祥550年を迎えた同組合の記念事業として実現した。3者の連携が生まれたきっかけは、金襴(きんらん)の織り職人を父に持つ同大学OGの池上真由美さんが、母校に提案をしたことだ。これを受け、15年度からプロダクトデザイン学科ライフクリエイションコースの学生が「京都市内を走るバスに実際に触れられる西陣織を搭載する」というアイデアを膨らませ、16年秋に同交通局に提案して協力が決まった。

 そこから、池上さんや同大学生の勝田穂波さんと藤田聖香さん、米本昌史同大学教員、組合メンバーでもある小川織物と岱崎(やまざき)織物で、実際にアイデアを形にしていった。内装では座席カバーやつり革、7メートル以上に及ぶ広告スペースに、学生がデザインした西陣織を採用することになった。

 学生は、「若い人にも西陣織の魅力を伝えたい」と考え、京菓子をモチーフに、ポップな印象でまとめた柄を用意するなど、デザイン面で工夫した。バスの中で実際に織物に触れられる点も関心を引くポイントになる。つり革については、運行が終了する18年の3月までに、冬、春と季節感を出したものへと変更していく。

 参加企業は、「西陣織=高級というイメージがあるが、今回の取り組みは多くの人が気軽に見たり触ったりできる。新しいイメージ作りにつながれば」と思いを語る。「西陣織として新たな用途にチャレンジすることはいい機会。最近では西陣織を生かしたホテル内装についてなどの問い合わせも増えている」という。

完成後に展示されたニシジンバスの外観
広告スペースを彩る西陣織。京菓子がモチーフ
つり革にも採用。四季に応じて変更していく



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