大阪・南堀江を拠点に個性的なレディスレッグウェアを作る「ぼんぬみーぬ」(中薮薫代表)。09年に立ち上げたオリジナルブランド「ノネット」は、南堀江の路面直営店や阪急うめだ本店、個性派セレクトショップなどで販売している。
商品企画を担うは、デザイナーの鳥井さちさんだ。生産現場に入り込んで勉強し、糸使いや編み地の変化、編み機の使い分けなども、ほぼ頭に入っているという。ウェアとの相性を含め、思い描いたデザインを自分で製品に落とし込めることが強みだ。
(山田太志)
鳥井さんは兵庫県出身。服飾学校で学んだ後、編み地や靴下の企画などで経験を積んだ。学生時代から靴下が好きで、今でも常に「自分の好きな靴下を作りたい。こんな靴下があればいいな」というアイデアを持つ。
縁あって、奈良を拠点に長年靴下のOEM(相手先ブランドによる生産)などを手掛けていた中薮代表と出会った。09年にノネットをスタートし、合同展などでコレクションを発表。ブランド名のノネットは鳥の一種で、鳥好きの鳥井さんが名付けた。南堀江の店名も「ペック・ドゥ・ノネット」(ノネットのくちばし)にした。
◆双方向で議論
ノネットは、シーズンごとに30~50型を企画。特殊な糸が中で、表糸・裏糸の使い方、特殊な凹凸やギャザーのような表面感を出す編み地、切り替え手法が多い。ロットが小さいと、無駄になる素材も増える。旧式の機械で丁寧に作る靴下は、生産性を考えれば工場泣かせの商品でもある。
ただ、鳥井さんが生産現場の知識を持っているため、「難しいなら、糸を変えましょう」など、協力工場の職人と双方向で議論ができる。最後は頑固な職人も納得してくれることが多く、「職人さんが驚くぐらいの企画を持っていくのが楽しい」。
◆増えるリピーター
価格は靴下で2000円台からが中心。安くはないが、リピーターは着実に増えている。自信作の一つという経編みのレギンスのほか、アームカバー、ヘッドバンド、ポーチなどの周辺アイテムも揃ってきた。2年前には、ノネットに興味を持った米ニューヨークのデザイナーの拠点の一角を使う形で、ニューヨークにショールームもできた。このほどECもスタートし、これから充実していく。
個性的な物作りを追求するため、中薮代表は「原価率は高いし、生産が限られるから売上高も横ばい」と苦笑い。それでも、商品に関しては鳥井さんに全幅の信頼を寄せる。高齢化で工場の職人が減り、紡績、染色などの廃業も目立つ。「何とか頑張って欲しい」と願っている。