「ノールケアド」、持続可能で楽しい物作り 春夏はオレンジやグリーンがキー

2022/03/23 11:00 更新


22年春夏展示会。会期中に飾った花は、来場者にお土産としてプレゼントし、無駄を削減

 新しい商品が悪いのではなく、持続可能で楽しい物作りになるように――そう話すのは、ノール(東京、北畑秀樹社長)のニットウェアを中心としたレディスブランド「ノールケアド」でディレクターを務める竹内昌子さん。サステイナブル(持続可能)なビジネスモデルを目指し、受注生産で年2回コレクションを販売する。一着の服を長く愛用できるように、ニット製品のアフターケアも行う。

 ノールケアドは、21年秋冬にデビューした。一年中ニットウェアを主力アイテムとし、デイリーから仕事までかっちりとした場面にも対応できる服を提案する。無駄のない物作りを掲げ、店舗は持たず、受注した分だけ生産する。ニットは布帛のように余分な生地が出ず、修理がしやすいのもポイントだ。

 受注生産は本来、注文から発送まで約3カ月かかる。しかしノールケアドは、ニットの自社工場を持っている生産背景を生かし、注文から最短約1カ月で消費者へ届ける。受注生産でも今の気分で選び、近いタイミングで着用できる点は魅力として大きい。また受注生産は、「納期を理解してもらう、待ってもらえるだけのわくわくする企画が必要」といい、着用した際の着心地を重視する。肌あたりやシルエットに配慮した「気持ち良くて着やすい」デザインに、ファンも多い。

 22年春夏物は、自然界にあるグリーンやオレンジをキーカラーにした。ダブルジャケットとテーパードパンツのセットアップをはじめ、ハーフパンツ、ワイドパンツなどを揃える。ほとんどのアイテムが手軽に洗える、イージーケアも特徴だ。中心価格はコート3万円、ジャケット1万5000円、カットソー7000円、パンツ1万3000円。

全身コーディネートもきれいめな印象に

 ニット製品は、ブランドのウェブサイト内に設けた「ニットケアクリニック」で、虫食いや穴あきなどの修理を無償で行う。大切な服を長く着用してもらうために、他ブランドの製品も有償で受け付ける。

 竹内さんは現在、フリーのディレクターとして活動する。15年以上メーカーで勤めた後、「サステイナブルとは何か」を学ぶために渡米。約2年間、ニューヨークで現地のSDGs(持続可能な開発目標)に対する考え方や熱量に触れた。帰国後、「物作りの観点から自分たちが出来ることを考えよう」という思いで立ち上げたのが、ノールケアドだ。

 竹内さんは「服を選ぶ際に、受注生産という選択肢をまず知って欲しい。アパレル業界にも受注生産型のブランドがもっと増えればうれしい」と話している。

ディレクターの竹内さん

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