シャツブランド「オフライン」は今秋、東京・銀座に〝プライベートサロンと土産屋〟というスタイルの直営店を開設した。シャツのカスタマイズサービスを中心に、香りやジュエリー、アートが並ぶ静かな空間を提供する。
(大竹清臣)
同ブランドは18年にアートディレクターでデザイナーの中里昌男氏と金銀彫刻師の柿沼昌一氏でスタート。「クラフトマンシップ×リゾート」をテーマに、京丹後シルクやカスタムボタンなど日本の伝統素材と職人技に現代的美意識を融合させたシャツを提案している。ターゲットは富裕層が中心。ニューヨークでキャリアをスタートした中里氏は「日本の魅力を再発見したい」との思いから、高級で扱いにくいというイメージが強いシルクの再定義に挑んだ。同ブランドのシャツは金銀彫刻師の柿沼氏が作るボタンとアクセサリー感覚で付け替えられるのが特徴だ。

主力素材のシルクは京丹後の老舗絹織物工場による肉厚で光沢がある無地をはじめ、ちりめん、ジャカードの柄物などを揃える。シルクのシャツは10万円超と高額なため、旅行先でも持ち運べるイージーケア性の高いポリエステルのバックサテン使いのプリントものや綿100%チェック柄なども4万~5万円台を中心に揃える。シャツ以外にウールのアウターやポップな柄の入ったニットパーカ、バッグなども販売する。

銀座のサロンは路地を入った小さなビルの上層階にある隠れ家的な立地。完全予約制で、来店客に合うサイズや素材、色・柄などのシャツを用意し、ボタンやカフスなども自分好みのものが選べる。既存のボタンに飽きた場合でも変えれば新鮮な気持ちになり、長く愛着を持って着られる。来店客一人ひとりに対し、密なコミュニケーションによる丁寧でパーソナルな接客を心掛ける。また、シルクの白無地シャツなどが着込んで黄変した時のアフターケアとして後染めサービスも実施する。銀座サロン限定商品も販売する。
今後のビジョンについて中里氏は「国内は銀座サロンが主軸になるが、日本発ラグジュアリーとして海外販路の開拓を本格化したい」と次のステージを見据える。