オンワード樫山 EC専用レディス「アンクレイヴ」好調

2020/08/21 06:30 更新


 オンワード樫山のEC専用レディスブランド「アンクレイヴ」が、立ち上がりの20年春夏からプロパー販売比率約90%と好調だ。実店舗での販売を前提としないため「高い水準の製造原価率で市場に供給できる」ことを強みに、30~40代の働く女性のライフシーンに便利なセットアップ企画も当たった。売り上げ計画を大幅に上回っており、今後はオンワードグループが掲げる「メーカー機能を持つデジタル流通企業」の重点ブランドとして市場定着を狙う。

期間限定店も成果

 アンクレイヴはECが主力販路で、今春夏からオンワードグループ直営EC「オンワード・クローゼット」で販売を開始した。値頃に価格を抑えて高いプロパー消化率を前提に、高水準の製造原価率を実現したDtoC(メーカー直販)型ビジネスモデルでもある。

 立ち上がりから好調なのは、自社ECサイト内での手頃な価格に好反応なこと。加えてブランドを知ってもらう場として期間限定店を立ち上がりから出店できたのが大きい。3月に伊勢丹新宿本店本館2階、6月には阪急うめだ本店4階のプロモーションスペースに出して、好調だった。

 「メーカー機能とともにリアル店舗を運営できる点で、新興のDtoCブランドと差別化を図れた」と同社。EC専業ブランドでも「消費者が商品を実際に手にするタッチポイントは必要。今春夏でアンクレイヴが実店舗においての販売で好結果を出したことは、今後の拡販につながる」としている。

先行受注会、SNS活用

 商品企画ではクリエイティブディレクターに女性ファッション誌などで広告・カタログのディレクションを手掛け、アパレルブランドの協業商品開発などで活躍する東原妙子氏を迎え、企画チームを編成した。今春の売れ筋はカーディガン風に羽織る感覚のジャケット。ディレクターによる旬を取り入れた着こなし提案でヒットした。

 高いプロパー消化率は、アイテムごとの最適な生産数量を引き付けて判断できているため。シーズン前に先行受注会を設けて、ブランド専用のインスタグラムに新商品をアップ。フォロワー数の動向をチェックして人気品番を絞り込み、各品番の生産量を決定する。オリジナル生地をストックしながら、人気アイテムに期近対応で落とし込むことが可能になる仕掛けだ。また、ジャケットやパンツ、スカート、ブラウスで共生地を使ってセットアップの統一感も演出している。

 1シーズンで提案する品番数は、従来の実店舗での販売を主力とする既存ブランドと比較して5分の1に集約。「一般的なアパレルブランドは、店舗規模の拡大に伴って品番数が広がるが、その分テイストが希薄になる。ECだとニッチな客層に訴求できる特性があり、ブランドの世界観を崩さずに供給することができる」とみている。

 20年秋冬では、やや肉厚の生地を使ったプリーツロングスカートなどを提案。適度な落ち感やエレガントな雰囲気を表現するために必要な重量感のある生地を使った。ジャケットもメンズ仕様のハリ感のある生地で羽織り感覚を演出する。

30~40代の働く女性のライフシーンに向けて訴求する


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