パルコは今期(16年2月期)、ウェブを活用した顧客拡大策に力を入れる。パルコのショップブログ記事で紹介された商品をウェブから取り置き予約と通販注文ができる「カエルパルコ」の対象施設と店を拡大するとともに、スマートフォンアプリ「ポケットパルコ」の機能を拡充する。接客研修も強化する。
同社はネットを通じて情報収集し、購買する消費者が増加していることに対応し、12年度にウェブの活用に関するプロジェクトチームを立ち上げた。13年度にフェイスブック、ツイッター、LINEなど複数の公式SNS(交流サイト)を全19施設に導入。全施設のウェブサイトを刷新、スマホ対応を整備するとともに、全テナント3000店にブログを導入した。並行して、テナントへのウェブに関する研修を開始するなど「ウェブと実店舗の両方をテナントに活用してもらうための仕組み作り」(林直孝ウェブ/マーケティング部部長)を進めてきた。
これらを踏まえ、カエルパルコを昨年5月から、ポケットパルコを昨年11月から開始、ショップブログを活用したサービスを強化した。
カエルパルコは静岡パルコ内の3店でスタートし、昨年秋に計8施設50店に増やした。静岡ではカエルパルコでの売り上げが全体の10~15%で、そのうち、通常ではあまり取り込めない県外の客が70~80%を占める店もあり、「店の営業時間外での売り上げも大きい」という。この成果を踏まえ、今春から全施設に対象を広げ、ショップ数を当面、100に拡大する。
ポケットパルコは各施設・ショップの情報発信やショップ検索などの機能があるほか、カエルパルコのサービスと連動している。スタート当初は事前登録したクレジットカードで購買した際に付与されるショッピングコイン機能を福岡パルコに限定していたが、「アプリを利用していないハウスカード顧客に比べて買い上げ頻度、客単価ともに高く、効果が大きい」ことから、3月1日から全施設に広げた。ブログでのお気に入り記事などの当日のクリップ数を表示するなど新しい機能を加え、インターフェイスも変更した。
さらに、今期からCS(顧客満足)政策を行う部署がウェブ/マーケティング部と一本化したことに伴い、実店舗とウェブを連動させた接客研修を本格化する。