「凝った作品なのに安い」
アジアの独立系クリエイターが作った商品を購入できる台湾発のECサイト「Pinkoi」(ピンコイ)が日本でのプロモーションを強化している。このほど東京の大型イベントに出展し、72組のデザイナーがコレクションを披露した。日本の著名クリエイターが特別賞に選んだ注目の新進ブランドを紹介する。
■ミキオサカベ賞
デザイナーの坂部三樹郎氏による「ミキオサカベ賞」は、シンガポールのピンバッジ「ピンデミック」。かじられたリンゴやサボテンが生えたカップケーキ、三つ目のトラ、黄身が黒い卵――などデザインはユニークで多彩。すべて手でペイントしており、その手作り感が味になっている。「バッジで持ち物をデコレーションし、SNS(交流サイト)を通して自己表現したくなる楽しさがある」(坂部氏)ことも注目された。中心価格は1250円。
■矢後直規賞
アートディレクター・グラフィックデザイナーの矢後直規氏による「矢後直規賞」は、廃材を使ったタイのアクセサリー「ニンフアート」。廃材ならではのいびつな形状や模様、コケが生えた部分を透明な樹脂で加工し、天然のディテールをそのまま生かした一点物だ。「従来、捨ててしまう物をきれいに見せる価値の転換」(矢後氏)が評価された。リングが1900~2700円、ネックレス2940円、iPhoneケース5000円。
■シンラ賞
クリエイティブカンパニーのシンラによる「シンラ賞」は、ガラスを使った香港のアクセサリー「シモ」。ビーズや色鮮やかな刺繍糸などのパーツを入れたクリアガラスの玉を使い、アクセサリーを作っている。ガラスの表面と中のパーツに光が反射してキラキラと輝く。ピアスとリングが2000円台、ネックレス4000円台。「安いけれど高価に見えるという〝やすたか〟を求める20~30代女性のニーズがあるので売れる」(シンラ)と見ている。
ピンコイを日本で運営するピンコイジャパン(東京)の新田晋也さんは、「ジャンルもテイストもバラバラという面白さと、品質のわりに安いことが来場者の興味を引いた」と話す。サイトへのアクセスを促す狙いで会場では販売しなかったことに「不安もあった」が、「気になった商品があればすぐにサイトにアクセスして会員登録し、購入している客もいた」という。