上質なウエアとライフスタイルブランドを集める合同展プラグイン3月展(繊研新聞社主催)で、新商材を開発し、積極的に事業領域の拡大を図る企業が目立った。自社の既存事業で得意とする分野に磨きをかけて、新たな需要の掘り起こしに力を注いでいる。
箔(はく)プリント技術に特化する和信化学工業(静岡市)は、〝箔と水のアクセサリー〟をコンセプトにしたフェイク・タトゥーシール「ハクア」を開発した。手首や足首などにフェイクタトゥーをプリントしたシートを付けて、濡れたティッシュなどで10秒ほど水を含める。シールが肌に密着したらゆっくり剥がし、10分ほど乾燥させたら完成。
同社はこれまで化粧品容器のロゴプリントなどで箔技術を生かしてきたが、ハクアの販売を機にBtoC(企業対消費者取引)ビジネスをスタート。「スペインではやっている肩に貼り付けるフラッシュフェイク・タトゥーをヒントに開発した。ハクアは日本の女性の感性に合う、繊細で上品なデザインを意識した」として、大人の女性を狙う。問い合わせはお客様センター、電話0748・53・1966。
レザーシューズメーカーのティアラ(東京都立川市、電話042・538・3622)は、直営6店で使用するディスプレーとして開発、作製した流木什器を、専門店向けに販売する。合わせて「海岸をイメージした」店舗空間プロデュース事業も今春から立ち上げた。流木什器は自社内の工房で、全て手作りで作製。「量産品の什器とは異なる、一点ものの希少性でお店の雰囲気を演出できる」とする。
スランティングハンガー4万2000円、アクセサリー&ハットスタンド6300円など。用途に合わせたオーダーメードにも対応する予定だ。店舗商空間プロデュース事業では自社のライフスタイルショップの運営ノウハウを生かしながら、ユーザーの店舗リノベーションや新規出店に際して、アートディレクションやプロデュースを行う。
バッグ・シューズメーカーのワイ(大阪市西区、電話06・6147・7399)は布と金属(アルミ)箔の特性を併せ持つバッグブランド「布×箔」(ヌノハク)を販売する。表地にブラウンやカーキのヌバックレザー調ポリエステル素材、裏地にアルミ箔を貼り付けた生地で各種バッグを作製。布の柔らかな触感と、形状保持機能を発揮する金属箔が融合した独特のデザインだ。
トートバッグ2万4000円、ポシェット2万円など。帆布生地に樹脂を浸み込ませて、クロコダイル柄の型押しをグラデーションで付けたバッグも販売する。家電メーカーのプロダクトデザイナー出身者が立ち上げた会社で「家電もファッションも、優れた技術を日常的な製品に落とし込む発想は同じ。新商材でマーケットを開拓していきたい」という。
ブランドコンサルティングのノースショア(電話06・6538・6001)は、創業86年の奈良の肌着メーカー、タカギが作るレディスインナーブランド「アロマティック」を販売する。主力の量販店向けOEM(相手先ブランドによる生産)とは価格も販路も全く異なり、現在は伊勢丹新宿本店や西武池袋本店などで販売している。繊細なレース使いや女性らしいシルエットを追求した、インポート見えするデザインが特徴。
国内の自社工場で生産するため、インポートよりも価格を抑えられるのも売りだ。仏「ソフィーアレット」のレースを背中に配したキャミソールは、6800円。人気スタイリストと協業して開発したカップ付きキャミソールは5月に数量限定で販売する。今後は、大手セレクトショップへの卸を目指す。