二つの〝島〟が織りなすウォーターアイランドへようこそ――レディスブランド「ポッテンバーントーキー」とアクセサリー「ネズ」が先月、東京・南青山のスパイラルビル1階ショーケースで期間限定店を開いた。それぞれの世界を融合し、19年春夏物やアーカイブの商品を販売。ワークショップなどのイベントも充実し、都内だけでなく地方客も訪れにぎわった。
(関麻生衣)
ポッテンバーントーキーは11年秋冬にスタートし、2年前に法人化した。デザイナーは、台東デザイナーズビレッジ卒業生の中島トキコさん。「人が想像しない素材を使い、着る人を驚かすのが好き」という中島さんが作る服は、オリジナルのメッシュ地を使うのが特徴だ。素材の開発は京都の工場と協業している。
「ネズ」は洋服デザインの経験を持つ三島友加里さんが15年に始めた。中島さんと同様に素材への関心が強く、透明度の異なるビニールやウールのニットなどを使い、触ったときの発見も楽しめるアクセサリーを作っている。
面白いことをしたい
期間限定店のきっかけは、中島さんからの呼び掛けだった。ポッテンバーントーキーで出店が決まり、「せっかくだから面白いことをしたい」と、以前から交流のあった三島さんを誘った。「水のような透明感のネズのイメージとの親和性を感じた」と中島さん。以前にも、複数ブランドで合同展に参加したことはあったが、ポッテンバーントーキーとネズだけでは初めての催事となった。
ウォーターアイランドという期間限定店の名前は、中島さんと三島さんの二つの「島」と水のイメージからつけた。「言葉遊びが好き」という二人のユーモアがあふれる。
店内の空間作りにもこだわった。天井の金網や青の装飾、ぷかぷかと水面に浮かんでいるような心地の良いBGMなど、いつ訪れてもリラックスできるような店にした。BGMは音楽レーベル「ベジタブルレコード」がオリジナルで制作したものだ。
新規客にもアプローチ
会期中はバッグやアクセサリーのオーダー会、メッシュ地を使ったオブジェ作りのワークショップなど四つのイベントを開催。店内の中央にスペースを作り、そこでコンテンポラリーダンサーの山口静さんがポッテンバーントーキーの服やネズのアクセサリーを身に着け、パフォーマンスもした。
「両ブランドとも決して安くないので、普通に売っていたら苦戦する。でも、素材の良さや面白さを理解し、納得したうえで購入してくれたお客が多く、やりがいを感じた」と中島さん。新規客へのアプローチにもつながったという。