原料や各種加工薬剤、染料の価格上昇は、素材メーカーだけでなく、中間段階の産地企業やコンバーターにとっても大きな打撃だ。生産の効率化や工夫でできるだけ吸収しようと努力しているものの、「もはや限界」との声も聞かれる。受注が回復しつつあるタイミングでのコスト上昇に苦慮しており、「値上げしようにも、ここで上げたら顧客が離れてしまうのではと考えるとなかなか踏み出せない」など、慎重な判断を迫られている。
(三冨裕騎)
痛いタイムラグ
「全ての工程で上がってきているため、中間工程で吸収できるレベルではない」とある三備産地の産元商社。「シーズン前に価格設定してしまったものは仕方ない。商談中に価格の変更はできないが、原綿などは時価なので、すぐに糸値に反映される。そこのタイムラグが痛い。顧客との話し合いはしているが、今後果たして高い価格で買ってくれるかどうか」とも。各社が在庫を抑制しようという現状での値上げの厳しさをにじませる。
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