ファッション業界の採用は、販売職を中心に全体的に売り手市場が続いている。以前ほどではないようだが、「高い水準で高止まりしている」状況だ。採用の早期化の一方で、学生の「納得して」などの内定保留や辞退などで長期化している傾向もある。ファッション・アパレル業界に特化した人材関連サポート企業に、採用・就活活動の現状を聞いた。
採用環境は二極化
――26年春卒及び最近の採用活動は。
新卒も中途採用も急激に増えているわけではありませんが、売り手市場が高い水準で続いています。少子化や各企業の求人数が増え、採用目標数に足りていない状況です。
学生は内定を2、3社からもらい、その中からどの企業にするのかを選ぶ。しかし、第1志望の企業に入れる学生は3割ほどで、希望通りというわけではないようです。
3年生の2月段階で早い企業の内定率は5割と早期化が進み、応募から内定までが短縮化しています。一方で、6月以降の企業への応募数もあまり落ちていない。4年生の9月以降も就活を続ける学生もいます。内定を持っていないから続けるというより、「納得いくまで続ける。一番希望に合う企業に行きたい」から続けている印象です。じわじわと続く就活のイメージです。
大手は早期化に対応し、インターンシップ(就業体験)などを行っている。さらに、採用難の時代に、最近は全体の応募数が減っており、応募数を増やす取り組みも強めている。SNSの広告を使った新しい採用活動を模索している企業も。インスタグラムなどの情報発信も強め、広く企業の魅力を届けるように努めている。
――早期化への対応と課題は。
当社では8月に早期化に対応して、28年春卒向けの合同企業説明会を夏に実施します。また、採用人数があまり多くない、少数精鋭採用の企業は、逆に遅らせて採用活動に本腰を入れる企業も。少し遅らせる企業もあり、早期化に向けて動く学生と納得して入社したい学生に対応する二極化が見られます。

求人が増えていることもあり、内定辞退率が上がっている印象はあります。採用の早期化で、内定承諾までの期間が長くなります。この期間にどう企業の魅力付けやケアをし続けるかの悩みもある。学生は多くの内定をもらっており、じっくり選ぶ時間があり、選択肢も多い。選んでもらえるような対応も課題です。
人手不足は変わらず
――企業を選ぶ決め手は。
キャリアアップの制度はポイントになっています。当社が行った企業説明会でのアンケートでは、「人の魅力」「待遇」とともに「キャリアパス」が上位に。自分がこの会社で、どのようなキャリアを進んでいけるのかに関心が高く、将来のキャリアへの不安が見えます。
第1志望でなくても、キャリアアップの制度が充実していれば、可能性から入社を決めることも考えられます。待遇では初任給や働く環境。人の魅力も関心が高く、初めに学生に対峙(たいじ)する人事部の影響が大きく、力を入れるべきです。
――27年春卒以降の状況は。
人手不足は解消されておらず、傾向は変わらないようです。企業説明会の参加企業は増えています。2月開催の東京と京都の会場は、新規や両会場への出展企業が56社(昨年は44社)。昨年は大阪会場でその影響もあると思いますが、参加学生数は878人で横ばいです。来年の2月は大阪会場に戻し東京と2会場で行います。
目標通り採用できない企業、採用活動が難しい現在では、離職率を下げる取り組みも重要になっています。人が採用できないため、採用した人材を辞めさせないこと。人事の採用チームと入社後の継続チームに分かれてフォローしていく企業も出てきています。
新しいキーワードとして、AI(人工知能)・テクノロジーの話が出てきています。足元では人手が不足しているが、今後はそもそも人を必要としない環境に変わることも考えられる。企業の施策や投資などにもかかわってきますが、ファッション業界ではAIに頼らない方針もある。AIに代替えすることが増えれば求人者には不利となる。すぐではないが、環境が変わることも考えられます。
(繊研新聞本紙26年7月22日付)
