【サンフランシスコ=立野啓子通信員】コロナ禍に上昇した中古衣料とアクセサリーの再販サイト大手で、この春IPO(新規株式公開)を果たしたスレッドアップとポッシュマークは、個々の顧客とつながるデータを駆使した優れたサイトで、他の小売りやメーカーにも使え、協業が急速に進んでいる。
スレッドアップ(カリフォルニア州オークランド)は7月26日、欧州の再販サイト「リメックス」を2850万ドルで買収。欧州にも市場を持つウェルスワァーゴ銀行の調査部門によると、同社のプラットフォームを使用する協業は、前年比30%増、現在30社以上が契約しているが、今後、5年間で200社に、先行き300社まで拡大する。協業による収入は、今年度の200万ドルから25年度までに3億ドル、将来的には9億3500万ドルになると試算。現在のパートナーは、メードウェル。ウォルマート、エバーグリーン、イーベイ、ファーフェッチ、ギャップ、アディダスなど。
ポッシュマーク(カリフォルニア州レッドウッドシティ)は、20年度に試験的に始まった新プログラムとして、大手ブランドに期限付きで8000万のユーザーを持つ同社のサイトを提供する「ブランドクローゼット」を開始する。ブランドのページ作成、Eメールによるキャンペーン、在庫処分などを同社のサービスを通じて、個々の顧客に対応できる。現在のパートナーは、ラッキーブランド、ヒュー、フリーピープルなど。更に新しいツールとして「マイショッパーズ」は、ブランドのページを開設。売り手は、ディスカウントの情報を掲載、ポッシュマークのサイトを通じて、パーソナイズされたお薦め商品の情報を送ることが可能。「クローゼットインライト」を通じて在庫状況やセールスデータを知ることもできる。
今やメーカーや小売りにとって、自社製品に最後まで責任を持つ再販は、避けて通れないプロセスである。両社とも本社はシリコンバレーの近く。膨大なデータを瞬間に処理できるITあってこそ可能な業態である。