尾州ウールでロリータ服 体験サロン「ロココ」運営のショコラさん

2021/01/13 06:28 更新


 尾州産地のウール生地を使った可愛い大人の〝ロリータ服〟を手掛けているのが、愛知県一宮市で「ロリィタ体験サロンロココ」を開設しているショコラさんだ。20年11月から始めたクラウドファンディング「レディーフォー」のプロジェクト「尾州ロリィタ」は、目標の2倍以上の134万円、70人の支援が集まった。

(浅岡達夫)

 一宮市出身のショコラさんは地元企業で事務職として働きながら、15年にロリータファッションを体験できるサロンを開いた。大学の工学系学部を卒業して会社員になったが、「もともとロリータ服が好きで、仕事でも休日でも着用機会に合わせた可愛い服を着ていた。このロリータ服をもっと知ってもらう体験サロンを考えた」という。

 サロン開設に向け、可愛い系ブランドや靴下、アクセサリーなどを買い揃えた。予約で訪問した顧客は好きな装いになってもらい、写真撮影する仕組み。「愛知県など地元だけでなく遠方からも幅広い年齢層の女性が来店。常連客もできた」。サロンの売り上げは運営をまかなうほどになった。

ショコラさんと紳士スーツ地で作った服

好立地への移転機に

 20年1月には「少し広め」の場所に移転した。真清田神社と一宮駅の中間で、駅前商店街の中。「好立地に移転したのを機会に、地元の尾州の毛織物を使ったロリータ服を作って着てもらおう」と考えた。

 「小学校の社会科見学を通じて、地元が繊維の産地ということは知っていた」。しかし親族や知り合いに繊維企業で働く人はおらず、「尾州企業が作っている生地は全く知らなかった」。そこでインターネットを使って尾州生地を検索。サンプル生地の販売サイトを設けている婦人服地の鈴憲毛織を知り、19年に直接訪問した。応援の意味もあって、「数メートルのウール・レーヨン混生地を分けていただいた」。

 次に訪問したのが高級紳士服地メーカーの葛利毛織工業。メンズのスーツやコートに適したウールや獣毛混の生地を販売しているが、「ロリータ服に興味を持ち、〝試しにこれで作ったら〟と梳毛高級スーツ地を分けてもらった」。いずれも「小額を払ったが、実売単価ではとても買えないような高級服地だった」という。

一宮市などの後援も

 最初は自分用に数着を縫製した。「外観の上品さや上質感などがサロン訪問者に好評だった。そこで尾州生地を使った服をもっと広めたい」と、クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げた。

 プロジェクトで紹介したのは、ウールやキッドモヘヤ、シルクなどの生地を使った長袖と半袖の2タイプのドレス。鈴憲毛織と葛利毛織工業の生地を使った。黒、チャコールグレー、グレーの3色。通常は5万5000円(税込み)で販売しているものを、「クラウドファンディング限定3万3000円で紹介した」。合わせてロリータファッションには欠かせないヘッドドレス、3000円と5000円の体験プラン、がま口バッグなども紹介した。

クラウドファンディングで尾州ロリィタを紹介

 同プロジェクトは一宮市や一宮地場産業ファッションデザインセンターなども後援。ショコラさん自身も「21年一宮市の市政施行100周年の専門委員会」の若者委員を務める。

 生地を提供した葛谷聡葛利毛織工業専務は「若い世代に尾州をどうやって伝え、継承しようかと考えてきた。紳士スーツ地のロリータ服は驚きだったが、ドレープ性や上品さが表現できて尾州生地の新しい可能性を見た」という。

 ショコラさんは「コロナ感染拡大で遠方からの常連客は来られないが、終息後にはいろいろな人に来てもらい尾州生地を使った可愛い服を着てもらいたい」と話している。

クラファンでは葛利毛織工業など製織現場も紹介


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