東京・原宿の竹下通りにある「sai」(サイ)は、店の内外をアニメグッズで飾った変わり種の美容室。原宿が〝聖地〟のテレビアニメとの協業が好調だ。美容師目線でディレクションしたおしゃれなイラストのグッズやヘアオイルが売れている。
(高塩夏彦)
同店は22年オープン。最初の2カ月ほどは、ごく普通の美容室だったが、店が多い竹下通りでは埋もれてしまうのが課題だった。
個性的な施策も
代表で美容師の甕(もたい)勇門さんは、目立たせるために入り口から店内まで、好きなアニメグッズで飾り付けることにした。美容師がコスプレをして髪を切る個性的な施策も取り入れた。するとSNSなどで話題になり、アニメ好きの客が増え始めた。「ジャパンカルチャーにあふれる町並みとも相性が良かった」(甕さん)。
24年7月から、原宿が舞台の人気テレビアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』との協業企画もスタートした。描きおろしイラストには、甕さんがキャラクターの髪型や服装に意見を出した。それを使ったアクリルスタンドなどのグッズを企画した。
地方や海外から
美容室仕様の品質でオリジナルのヘアオイルも作った。色は作中のアイドルグループのイメージカラーの紫で、発色にこだわった。
協業商品はサイの店舗と自社ECで販売している。「〝推し〟がおしゃれに描かれてうれしい」と好評で、完売商品も出ている。横浜で同アニメのライブイベントがあった日には、地方や海外からの客も買いに来た。
「普段から人気キャラと同じ髪型やカラーをオーダーするお客さんが多い。美容とアニメは親和性がある」。今後も協業などを通して、美容とアニメの懸け橋になりたいと話す。