シライ(白井浩一社長)はインフルエンサーを起用した「ティーナ・ジョジュン」(ティーナ)など複数のオリジナルブランドを集積した自社ECモール「ジョイントスペース」が好調だ。ティーナでは直営店舗の展開も始め、22年9月期売上高は約50%増を見込む。今秋には新ブランドもスタートし、将来的には日本製商品の越境ECの確立を目指す。
もともと自社工場を持つニットメーカーで、創業50年を超える。中国に物作りが移行し、直販か、撤退かを迫られ、1999年に「楽天市場」に出店し、自社ブランドの販売を始めた。08年には自社ECを立ち上げたが、うまくいかず撤退。日本製の商品を販売するために中国でECや出店に挑んだが、長く続かなかった。順調だった楽天市場など他社ECモールでは、競争が激しくなってきた。広告費の負担増など、依存することの限界を感じ、12年に「ジョイントスペース」で自社ECに再挑戦した。ちょうどインスタグラムが日本で広がるタイミングで「作る人とお客様の間をつなぐ」コンセプトも受けて、ファンを獲得していった。
さらに幅広い客層に来店してもらうために、読者モデルやインフルエンサーと協業しながら複数ブランドを立ち上げていった。現在もカジュアルとエレガンス、モードとコンサバのマトリクスから、気になるファッションアカウントに合わせて、商品やブランドを企画開発する。
白井社長は「早くチャレンジして早く失敗し、その学びから成功を積み上げていく」という。ジョイントスペースの中では若いZ世代を対象とするティーナは、SNSでファンを獲得し、独自にスマートフォンアプリをリリースするなど挑戦が続く。実店舗も新宿、大阪、名古屋に続き今4月、福岡に常設店を出店し、期間限定を含め6店とした。また、今秋には30歳前後を対象にエレガントテイストの新ブランドを期間限定店からスタートする予定だ。
店舗出店は「日本の物作りをアジアに越境で売っていきたい」という強いこだわりと将来への布石でもある。海外から見た時に、実店舗がある方が信頼は強まるからだ。今も、ジョイントスペースでは台湾、香港、シンガポールなどから買い物代行サービスを利用して購入実績がある。もう少し地に足をつけて、色々なことをチャレンジしながらブランドを確立し、日本製を海外に販売することにこだわりたいという。