スロウガン(東京、小林学代表)は18年秋冬に立ち上げたメンズブランド「オーベルジュ」で、クリーンな次世代フレンチスタイルを提案し、新たな需要の掘り起こしを狙う。「90年代に隆盛を極めたアメカジは今でも残っているのにフレンチがほとんど残っていない。40歳前後の男性が懐かしむ〝ネオフレンチ〟は20歳前後にも新鮮に映るため期待ができる」(小林代表)とみている。
(大竹清臣)
ワーク・ミリタリー
同ブランドのファーストシーズンでは日本の技術を駆使し、未来のビンテージウェアを目指してベースとなるスタンダードな古着を忠実に再現した結果、完成度が高過ぎた部分があったという。19年春夏物では、日本人のフィルターを通したワーク・ミリタリーベースのフレンチスタイルを深掘りする。
アイコンとなるアイテムは、俳優セルジュ・ゲンズブールが芯なしの短い襟を立たせて着用していたシャツ。ファーストシーズンに好評だった国産シルクの優しい白や杢シャンブレー(2万4000円)などのほか、100番単糸の綿を限界まで打ち込み、浜松で磨くような特殊加工して高級シーツのような肌触りと光沢を実現した。その生地でラグランのワークシャツ(2万9000円)を出す。半袖はゲンズブールがよくするロールアップさせる仕様にした。素材開発からこだわり、今治のタオル専門工場の特殊織機を使い、パイルでなくジャカードでふくらみを持たせたプルオーバーのサイドポケット付きシャツ(2万4000円)もある。
抜け感を大事に
コーディネートでは、細身のパンツにゆったりしたアウターを合わせるようなフレンチ特有の抜け感が大事になる。アウターのフォルムは今の時代を意識したワイドで着丈短めの40年代の米サルベージパーカをベースに、英国空軍のディテールを取り込んだ。ボーダー柄のボートネックシャツは、通常日本人が着ると首が抜けて肩が見えすぎるので、ネックのカーブを緩やかにした。
小林代表は「ディテールをブラッシュアップするなどベーシックを再解釈するのがプロの仕事」と言い切る。