ブルックリン美術館で「ソリッド・ゴールド」展 金が使われたさまざまな場面を検証

2024/12/24 11:00 更新


左側はアントニオ・ロペスのイラスト、中央はジェレミー・スコット

 ブルックリン美術館で「ソリッド・ゴールド」展が始まった。富、美、成功などさまざまな意味を象徴する金が、実にさまざまな場面とモノで使われてきたことを実感する見ごたえのある展覧会だ。

 古代エジプトの棺(ひつぎ)や棺に入れられていたフットケース、カトリック教会の司祭の式服、宗教画といった世界の歴史と宗教にちなんだ金。江戸時代のピクニックセット、印籠(いんろう)、能の衣装、屏風(びょうぶ)など日本のもの。アカデミー賞やゴールデングローブ賞、グラミー賞の金のトロフィー。そうした展示物が、エリザベス・テーラーが主演した1963年の映画『クレオパトラ』、70年代のスタジオ54で行われたグレース・ジョーンズのパフォーマンス、78年のミュージカル映画『ウィズ』などの映像と共に紹介されている。

 イラストはアントニオ・ロペスの作品数点のほか、43年にヘンリー・ベンデルからブルックリン美術館に寄贈された1万1000点から選ばれた45点のイラストが公開された。珍しいところでは、「ゲラン」が1853年、ナポレオン3世の結婚を祝福して作った、24Kを使った大きな香水瓶がある。

 多くの服が取り上げられたデザイナーはメアリー・マクファーデン、パコ・ラバンヌ、ジェレミー・スコット、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ディオール。アズディン・アライアがティナ・ターナーのためにデザインしたミニドレスもある。

アズディン・アライアがティナ・ターナーのためにデザインしたミニドレス

 ジュエリーは「カルティエ」と「ジャンフランコ・フェレ」が目立つ。ジェレミー・スコットがアディダスのためにデザインした羽根つきのスニーカーはクレオパトラ関連の部屋に展示されているが、さほど違和感が感じられない。

 きらびやかな面だけでなく、金採掘の過酷な実情を示す映像も流す。一方で、彼らは奴隷ではなく、金持ちになりたいという野心をもっていたとの見解を示している。展示数は500点以上。25年7月6日まで。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員)



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