服地コンバーターのサンウェルが、アパレルDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを強化している。米デジタル生地プラットフォーム「スワッチブック」に参加し、ストック生地の3Dデータ化に着手した。アパレルOEM(相手先ブランドによる生産)で導入が加速する3Dモデリングや、広がり始めたバーチャル試着に対応する。社内で3Dモデリストも育成し、作成した製品イメージを商談や情報発信にも活用する。
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アパレル向けの生地・製品を販売するTX販売第1事業部が旗を振り、コロナ禍前からデジタル化を検討してきた。商社やアパレルメーカーでDXが進み、バーチャル試着も普及すると予想するなかで「販売拡大には生地のデジタル化とネット販売が必須」(安永徹三上席執行役員TX販売第1事業部長)と考えた。
スワッチブックは、「世界最大」の3D生地ライブラリー。10万点以上のデジタル生地を集積し、画面上で色や柄を変えられるデザインツールも提供している。サプライヤーには、スキャンや物性データからのレンダリング、写真・動画撮影といった生地のデジタル化サービスを行っている。
サンウェルはスワッチブックを通じ、売れ筋やトレンド素材、サステイナブル(持続可能な)素材を中心に200~300品番を3Dデータ化する。データを活用し、社内でも3Dモデリングを取り入れる。商談時に生地見本だけでなく製品イメージを見せることで、顧客の生地選びをサポートする。インスタグラムなどにも掲載する。現在4人の社員が3Dソフトウェア「CLO」の研修を受けており、年内にも実装する考えだ。
スワッチブックは世界的な小売店やアパレルメーカーが利用しており、輸出拡大にも期待する。生地の在庫照会やサンプル請求、出荷指示などができる独自のオンラインシステム「サンウェルネット」との連携も視野に入れる。
9月14、15日にウィズ原宿ホールで開くテキスタイル総合展で訴求する。スワッチブックのヤザン・マルコシュCEOによるセミナーも開く。