ISAホールディングスは「サステナブル・ラグジュアリー」で、GIマーク(地理的表示)取得のインド・カシミール産カシミヤを使ったショールやストール、マフラーを販売する。「ビジネスを通じた持続可能な社会貢献」を掲げ、機械化や紛争で失業した現地の職人の雇用機会の創出も目指している。
サステナブル・ラグジュアリーは19年にスタートした。現地の伝統的な糸車を使い、手作業による糸紡ぎや糸織りなどで、環境への負荷を小さくして生産する。素材は16ミクロン以下のカシミヤ・ウールを使用する。
奇抜なデザイン
デザイン面での日本のアーティストとの協業も特徴だ。直近では、イラストレーターの都築潤さんにデザインを依頼した。カシミール産カシミヤの商品の多くはデザインが古風のため、奇抜なイラストでファッション性を高める狙いだ。価格は1万~10万円。
市場に流通するカシミヤの商品は、ほとんどがカシミール地方以外の地域で生産され、カシミール産は1%以下という。カシミヤの人気に伴って、生産工程が機械化され「高価な機械を購入できない貧困層、特に女性は失業し、多くが伝統的な手作業による生産をやめてしまった」。GIマーク取得条件には女性が担う糸紡ぎが欠かせない。
同社は日本とカシミール地方に持つネットワークを活用し、こうした社会課題にも向き合っている。
積極的に販路開拓
販売先は現在、ブランドやセレクトショップを開拓している。今後は展示会にも積極的に出展し、国内のブランドやセレクトショップ、百貨店との関係を構築していく考え。中長期的には海外市場も視野に入れる。ただ、手作業のため、短期間での大量生産は難しい。さらに、カシミール地方は70年以上にわたる紛争地でビジネスが容易でなく、「このような不安定な情勢を理解し、商品に価値を感じてもらえるお客と取引したい」とする。