学生時代にブランドを立ち上げ、東京コレクションにも参加したデザイナーの澤柳直志さんが新会社、シンクスドットデザイン(東京)を設立した。新会社では、環境循環型の和紙糸100%の洋服の企画・販売やODM(相手先ブランドによる設計・生産)など幅広く手掛ける。アパレル小売店以外の販路開拓も進めており「無駄なモノは極力作らない」という新しい時代のアパレル会社のありようを模索している。
これまでは人材紹介業のナンバーズ(東京)内の一事業部だったが、このほど独立した。3月下旬に発売した和紙糸100%のブランド「シンクス・ペーパー」は縫い糸を含めた環境循環型で、使用済みの製品を土に埋めると微生物の増加で土壌改良に役立つという。Tシャツやシャツ、トレンチコートなど5型を企画し、SNS運用で認知を高めて販売サイトに送客、Tシャツを除いては完全受注生産方式をとる。Tシャツはある程度の在庫を積む予定だ。
当初、和紙糸はキュアテックス(東京)の「キュアテックスヤーン」のみだったが、王子ファイバー(東京)とも取り組みバリエーションを広げる。使用済み製品は堆肥(たいひ:コンポスト)となり、九州などの提携農家に送ると、収穫した農産物の加工品を返礼として受け取れる仕組みも整えた。「環境配慮の製品そのものと、それが循環するサービスの仕組みをPRしていきたい」
Tシャツで1万9800円(税込み)と安くはないため、アパレル以外の販路開拓も進める。現在、リラクゼーションの大手チェーン店と話を詰めており、施術時の着替え着として体験してもらい、販売につなげるスキーム。製品のタッチポイントを増やし認知度を高める狙いもある。
一方、ODMは専門商社と組んだ案件が多い。島精機製作所の「エイペックス」などを使い、実サンプルは最小限しか作成しない〝バーチャルサンプル〟の仕組みを取り入れ、発注元に企画を提案している。
話題となったゾゾのDtoC(メーカー直販)ブランドのプロジェクトのディレクターを務めるが、ここでも実サンプルは最低限にし、残りはバーチャルサンプルで確認している。見込み生産も改め「受注後に必要な量だけ作るようにしている」と言う。