手袋産地の香川県東かがわ市で、「te+.」(テト)ブランドを発信するエイトワンのテト事業部。16年秋から本格販売し、初年度に比べ次年度は倍増ペースで、ネットも5倍近い規模に伸びた。
ブランドマネージャーを務める松下文さんは家電メーカーを退職して郷里に戻り、東かがわの手袋の良さを広めようと起業。立ち上げ時の協力メーカーは4社だったが、手袋への思いが少しずつ伝わり、今は7、8社に広がる。物作りも職人の教えを受けながら徐々に覚えていった。
販売面では、片方だけの販売、従来になかった真空パック包装など、新しい発想が流通から評価を受ける。百貨店、セレクトショップ、バラエティーショップ、異業種などから期間限定販売の要請が増えている。ECも有力モールに頼らず、自分たちで組み立てたコンテンツにこだわる。
「まだ規模も小さいし、やるべきことが山ほどある。新しい商品にもチャレンジしていきたい」と松下さん。弱かった春夏物対策として、昨年の夏はUV(紫外線)ケアの手袋を加え、秋には年間使えるアイテムとして、「今治タオル」と協業した「ヘアドライグローブ」を開発した。このグローブは文字通り、髪を乾かす時にドライヤーと併用して使うエステサロン仕様の手袋。ただ、伸びにくく、ほつれやすいタオル地を〝手袋風〟でなく、手にフィットする本当の〝手袋〟に仕上げるために試行錯誤を繰り返した。地元の中田久吉商店の協力も大きかった。
「日々の仕事をこなすのも大変」と笑いながらも、ファッション手袋はもちろん、チェーンソーの振動を防ぐ手袋や消防士向けの難燃手袋など「まだまだ産地技術を応用した物作りの可能性がある」と夢はふくらむ。