トム・ブラウンがNYで22年秋冬コレクションのショー “自分らしくあれ!”とメッセージ

2022/05/10 11:00 更新


「トム・ブラウン」が、22年秋冬コレクションのショーをニューヨークで行った。会場は、今年初めに改装オープンしたジェイコブジャビッツコンベンションセンターの北館。全米小売業大会やさまざまな合同展が行われる巨大な商業施設は、トム・ブラウンのアバンギャルドなイメージの対極にあるように思える。しかし、テッドトーク(非営利団体TEDが無料動画配信している〝広める価値のあるアイデア〟のスピーチ)風の演出をみると、ある意味、理にかなっていたのかもしれない。

【関連記事】「トム・ブラウン」ウィメンズ22年プレフォール 可愛らしさとウィット

 会場には、グレーのスーツを着た小さなテディベアたちが椅子に座って整然とたたずむ。その数500。やがて熊をかたどった巨大な帽子をかぶった男性モデルが登場し、テディベアの頭をなで拍手で称える。ナレーション風のスピーチが流れ、何度か繰り返されたフレーズは「自分らしくあれ」。ニューヨークを「真の自分」を見つけられる場所とし、「私のお気に入りのニューヨーカーを紹介しましょう」と語り、モデルが登場する。

グレーのスーツを着た小さなテディベアが整然と椅子に座る

 前半は、クラシックに遊びを入れたスタイリング。グレーのスーツに明るいグリーン、オレンジ、赤、イエロー、ブルーのレジメンタルストライプを混ぜたセットアップだ。さまざまな伝統柄をミックス&マッチし、ストライプをトリミング、プリーツスカートの陰ひだ、タイツ、厚底シューズに使う。

トム・ブラウン

 後半は、さらに大胆に遊びを入れた服が次から次へと登場する。パニエのようなボリュームスカート、蛇腹の袖、野球の球のような形のセーター、超特大のリボン、超極太で編んだオーバーサイズのセーターなど、子供の頃の思い出をよみがえらせながら楽しんでつくったかのような服が並ぶ。

トム・ブラウン

 トム・ブラウンの多数株を所有するエルメネジルド・ゼニアによると、21年度のトム・ブラウンの売上高は前年比47%増の2億6400万 ユーロ だった。自分らしさを維持しながら、驚異的に売り上げを伸ばしている数少ないデザイナー。だからこそ、自信を持ってこうしたメッセージを発信できるともいえるだろう。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員)



この記事に関連する記事