仏菓子 新年のしきたり(松井孝予)

2016/01/18 13:45 更新


新年早々、パリから食の香りをお届け。「食研新聞」 仏菓子の新年のしきたり La Galette des Rois / ラ・ギャレット・デ・ロワ

フランスの新年は、このギャレット・デ・ロワ(王様)で祝います。

その存在は日本のお汁粉とか栗きんとんに例えられないでもないのですが、言うまでもなく味覚的には遠いです。日本でも年々、この仏菓子の仕来りが広まっているようですが、そもそもこのギャレット、1月6日のカトリックのEpiphanie / エピファニー / 公現祭を祝うお菓子なのです。

公現祭とは東方の三博士が誕生したイエスを訪問したことを記念する日。

昔から「王を引き立てる日」として、ギャレットにそら豆(フェーヴ)を隠し、それを当てた人が「王様」「王女」となり次のギャレットを振る舞っていたそうですが、フェーヴは19世紀後半に陶器の人形(この場合、変わらずフェーヴと呼ぶ)に代わり、今ではこれを当てた人は紙製の王冠をゲットする「食べるプチ福引き」のような新年会行事になりました。

 

 
初公開!筆者所蔵希少(?)フェーヴ

 

伝統的ギャレットは一言で、アーモンドクリーム入りの丸いパイ。南仏は、大きなドーナツ型のブリオッシュをフルーツのコンフィ(砂糖漬け)で飾ります。パリのパティシエやショコラティエのメゾンは、年が明けるとそれぞれの得意技を錬り込んだ美味しく美しいギャレットをお披露目します。

異業種とのコレボレーションによるアートなフェーブも、食メゾンのセンスの見せ所。ガストロノミー(美食)はオシャレでなければ認められないご時世です。

それでは目で楽しむ新春ギャレットコレクションをお届けします(ギャレットたちは1月末頃まで発売されています)。

◆Pâtissier / パティシエ

Sébastien GODARD / セバスチャン・ゴダール

 

 

 

SGは、クラシックなギャレットをモダンに再現。中身はもちろんアーモンドクリーム。マルチニーク産のラム酒、または濃厚なショコラの2つのフレーバー。メゾンを象徴するキューブのタイルをフェーヴにした。

4人分/23・20ユーロ〜

ピラミッド店(1, rue des Pyramides 75001)のサロン・ド・テでは、チュイルリー公園を眺めながら新年のブランチ! ルイ・ロドレールのシャンパン、キャヴィアのクロック・ムシュー、ギャレット・デ・ロワ, etc.

 

 
セバスチャン・ゴダール サロン・ド・テの新年ブランチ


◆Chocolatier / ショコラティエ

Jean-Paul HEVIN / ジャン=ポール・エヴァン

 


ジャン=ポール・エヴァン

 

エヴァンのギャレットを食べずに新年を迎えられようか。今年はファッションのようにストリート気分でデザインしたギャレット。ショコラとマロンクリームに、バニラのノートのブラジル産グラン・クリュのショコラペピート(チップ)。

5人分/29・80ユーロ〜

◆Boulangerie / ブーランジュリー(パン屋)

Poilâne / ポワラーヌ

 

 
ポワラーヌのそば粉のギャレット

 

エヴァンのギャレット同様、ポワラーヌなしで新年を迎えられようか。知る人ぞ知る、ポワラーヌのクリームが入っていないギャレットセッシュは、シンプルを極めた素材を味わうよろこびで溢れる一品。

アーモンドではなくヘーゼルナッツクリームのギャレットも、そのパイ生地とのコンビネーションに頬っぺを落としていいと思う美味しさ。これに今年はグルテンフリーのそば粉の新人、Galette des Rois au sarrasin / ギャレット・デ・ロワ・オ・サラザンが仲間入り。14・90ユーロ〜

◆Collaboration / コラボレーション

Dalloyau / ダロワイヨ

 

 
ダロワイヨのギャレットのポートレート by アルクール

 

1682年創業ダロワイヨの2016年は、Galette Studio Harcourt で幕開け。これ、ちょっとイカした美味しい事件。Studio Harcourt スタジオ・アルクールは1934年にシャンゼリゼ界隈で創業したポートレート専門の写真館で、ここでポーズを取らないセレブはいない、と言っていいほど。

アルクールのレセプションの壁には、カール・ラガーフェルド氏と高田賢三氏のポートレートが仲良く並んで掛けれていたことを思い出す。話しが逸れたようだが実はそうではなく、ダロワイヨはこのアルクールと協業し、” H ” のイニシャルのギャレットを制作。

このギャレットはアルクールのスタジオで見事被写体となった。中身の方はモルトの粉のパイ生地、クリームはアーモンド、ピーナッツ、ミルクキャラメルのハーモニー。6/7人分 45ユーロ

La maison Sève / ラ・メゾン・セーヴ

 

 
メゾン・セーヴ×クリストフル

 

リヨンのショコラティエ&パティシエ、リシャール・セーヴのメゾンは、クリストフルと協業。メゾン・セーヴの銘菓、ギャレット・オ・プラリーヌ・ルージュ(赤い糖衣アーモンドのギャレット)に隠れたフェーヴ・ガニヨントが当たったら、クリストフルの店舗でプチビジューをプレゼント!

ギャラリーラファイエットオスマン本店メゾン館のクリストフルで1月9、10日の両日、このギャレットが特別販売される。2人前/17ユーロ〜




松井孝予

(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。



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