商社はDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略で、新たな市場開拓に向けた体制を整えている。デジタル化で社内外の情報を連携し業界の変革を目指す。
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蝶理は、全社業務変革プロジェクト「CARAT」(カラット)に取り組む。25年4月の完成に向け、次期の基幹システムのERP(全社的業務統合管理)ソフトであるSAPへの変更を進めるとともに、全社的な業務・組織変革、意識改革を実行する。業務の標準化を基盤にした自動化や可視化を進める方針。組織の編成もフラットに変えることで、営業以外の分野の女性社員が管理職として活躍できるダイバーシティー(多様性)を狙う。
ヤギは、サステナビリティ/デジタル事業推進室を4月に立ち上げた。26年3月期を最終年度とする中期経営計画の事業戦略として、マテリアル、ライフスタイル、アパレル、ブランド・リテールの4セグメントの連携する機能を担う。SCM(サプライチェーンマネジメント)については、衣服生産のプラットフォームサービスを提供するシタテルとの取り組みが進み、メーカーや検品所、通関をつなぐ物流領域のシステムを構築している。
MNインターファッションは、物作りに関わる多様な情報をデジタルデータにし、得意先のシステムと連携することをDX施策の重点に据える。得意先のPLM(製品ライフサイクル管理)に対応するシステム構築も進展してきた。自社工場を含む主力工場内のデジタル化にも着手する考え。
帝人フロンティアは、デジタル技術を使った営業力強化と業務の効率化を狙う。ウェブサイトを活用した新規開拓などで先行する帝人フロンティアUSAのノウハウを他の現地法人に広げて市場拡大を支援する。
豊島は、デザイン企画室を窓口に、社内外の要望に応えて迅速で的確なアパレル企画を打ち出す。同室はデザインチームとデジタルチームに分かれ、〝企画〟と〝IT・AI(人工知能)〟を絡めた提案で差別化する。