DtoC(消費者直販)レディスブランド「アンミヌ」は、大人女性が等身大で楽しめるフェミニンスタイルが売りだ。19年4月に自社ECから開始し、百貨店での期間限定店との両軸で売り上げを伸ばしてきた。右肩上がりで成長し、24年4月期の売上高は2億5000万円になった。
(藤本祥子)
トキメキの共有を
ブランドプロデューサーは、インスタグラムで約4万6000人のフォロワーを持つ大橋あゆみさん。セレクトショップのフロムファーストミュゼ(現在はWaft.)の販売員やプレス、バイヤーの経験がある。服のコーディネート写真をメインに投稿し、ブランドを立ち上げた頃にはすでに約2万人のフォロワーがいた。
コンセプトは「トキメキの共有」。ときめく服への気持ちを誰かと共有したいとの思いから始まった。フリルや大きな襟をあしらったブラウスやワンピースが主力商品だ。中心価格はブラウスが1万6000円、ワンピースが2万1000円、ボトムが1万7000円。日常使いできてフェミニンだが可愛くなりすぎない服は、30~40代を中心に支持されている。
24年春夏は、大きなリボンのように見立てたビックカラーワンピース(税込み2万900円)や、オパール加工で花柄を描いたティアードワンピース(2万3045円)が特に好評だ。
新規客獲得狙う
顧客が直接手に取って買える場だけでなく新規客の獲得も狙い、期間限定店の出店にも力を入れる。トレンドに敏感な人が集まる伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店などの百貨店を中心に、春夏と秋冬に分けて出店している。「可愛い服を世の中に出すことはもちろんだが、お客さんがどんな服を着たらより可愛くなるかを考えながら接客するのも好き」と大橋さん。期間限定店では店頭で接客もする。出店期間中は、毎日欠かさずオープン前後にインスタグラムで店頭での人気商品や、商品ラインナップなどをライブ配信する。
同ブランドは物流や不動産、観光など多角的に事業を行う豊田産業(大阪府吹田市)が立ち上げた。実店舗を持たないブランドとして運営を始めたのは、新規事業のためコストを抑えたかったことと、インスタグラムのフォロワーにアプローチすることでECだけでも可能だと見込んだため。
今後は「ブランドをできるだけ長く続けることが一番の目標。売り上げを伸ばすことを最優先にするよりも、お客さんと一緒にファッションを楽しんでいきたい」と話す。SNSを活用し、中国への販路拡大も準備している。