《視点》持続可能な物作り

2018/10/03 06:23 更新


 「中国の現地アパレルメーカーの素材発注動向がだんだん日本に似てきた」と、生地輸出を手掛けるテキスタイル企業。現地のEC向けアパレルを中心に、「素材や縫製などの生産コストの抑制や、時期を引き付けた素材発注が強まっている」という。一方で、日本製の上質素材への需要も存在し、市場の二極化が進んでいる。

 しかし、上質素材は日本国内で産地が縮小し、引き付け型による生産時期の集中も重なって、国内外の販路を問わず「受注があっても生産が追いつかない」「納期に生地を納められず売り上げに結びつかない」とする悪循環が目立ってきた。

 大手の製造小売業のSCM(サプライチェーンマネジメント)に対応し、欧米やアジア圏に拠点を設け、人員を送って素材開発から供給まで海外で完結させるテキスタイル商社の動きも本格化してきたが、国内の機業場や加工場では人材不足や資金不足で生産設備の増強にも慎重だ。

 「意匠素材開発のために利益はできる限り設備投資に回したい」とするテキスタイル企業もあり、日本における持続可能な物作りの確立が焦眉(しょうび)の課題になってきた。

(阿)



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