《視点》丁寧なアプローチ

2018/11/16 06:23 更新


 11月も連日連夜、イベントが目白押しだ。その数は年々増えている。期間限定店のオープニングや協業商品の発表、デザイナーの来日イベント。以前は木、金曜日だけだったイベントが、最近は月曜日も開催している。小売店や百貨店の担当者に聞くと、企画がマンネリ化していて、面白い企画をひねり出すのに苦労しているという。

 そんな話を聞いた矢先、新鮮なイベントに遭遇した。ドイツの眼鏡ブランド「マイキータ」が、京都の日本茶専門店「一保堂茶舗」で開催した少人数のプレスイベントだ。抹茶や和菓子をいただきながら、ゆっくりと眼鏡の説明を聞くというもの。ゆっくりとはいえ、30分にすぎなかったのに浸透力がすごかった。それぞれの哲学がすーっと頭に入るのを感じた。

 異業種同士の意外な組み合わせももちろん楽しかった。それに加えて、フランクな環境で目を見て交流するという時間が心に残った。たくさんの人にアプローチする企画とは一線を画す、多面的で奥行きを感じる丁寧なアプローチ。それは物作りのストーリーをしっかり伝えたいブランドであればあるほど、重要になっている。

(規)



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