《視点》創造的休暇

2020/06/11 06:23 更新


 緊急事態宣言が全都道府県に広がり、ステイホーム週間がいわれはじめた頃、SNSで〝創造的休暇〟という言葉が話題となり、記者の目にも留まった。

 万有引力の法則を発見したとされる学者、アイザック・ニュートンは、生涯で成し遂げた偉大な研究のほぼすべてを、ペストの大流行を逃れて故郷の田舎で過ごした約1年半の休暇中に考え付いたという。この期間を創造的休暇と呼ぶらしい。この逸話が現代に重なり、在宅勤務や外出自粛で生まれた時間を有意義に過ごそうという前向きな声が広がった。

 コロナ禍を受けてファッション企業による新たな取り組みが目立っている。臨時休業となった店に勤める販売員が発案した試みもあった。逆境と時間的余裕が、柔軟な思考やチャレンジ精神を生むのかもしれない。

 NTT出版による08年初版の『天才の時間』(竹内薫著)では、ニュートンなどの多くの偉人の業績は、天から強制的に与えられた熱中時間=休暇、によるものだと記されている。時間を生かすも殺すも自分次第だ。

(友)



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