長年仕事をしているといろんなことに出会う。駆け出しのころは阪神淡路大震災、少し経って東日本大震災。その間にも大小の厄災に数多く見舞われた。
今回の新型ウイルスもその一つだが、他との大きな違いはローカルのみで起こっているのではないこと。もっと大きいのは、人と人が手を携えて立ち向かうというイメージを持ちにくいところだ。大震災ではボランティア活動にいそしむ個人がたくさん見受けられたし、影響の小さかった地域は、「被災地のために、日本経済が沈まぬように」と経済活動に力を入れた。
ボランティアの行き先もないし、経済活動の停滞は全国に及ぶ。人と直接会うことがはばかられ、仕事もプライベートもオンラインでのみつながる。リモートワークは利点も多いが、パフォーマンスに格差が生まれているのも指摘の通り。
社会から切り離された感のある日常で大切なのは属する組織のリーダーの言葉だろう。「なすべきことは熱を与えることではなく、光を与えることだ」。ある高名な作家はこんな言葉を残している。希望の光を示すことこそ今最も求められている。業界のトップは社内にどんな光を与えているのだろうか。
(介)