コロナ禍はあらゆる領域で強制的にデジタルシフトを進めている。デジタルに疎かったシニア世代・高齢者も、感染リスクを避けるために外出を控えるなど、ECやフリマアプリを積極的に使うようになってきた。
メルカリが発表した「60代以上のメルカリ取引データ分析」が興味深い。それによると、20年4月~21年3月の60代以上のメルカリ利用者数は前年同期比1.4倍、購入商品総数1.4倍、出品商品総数は1.6倍に拡大したという。
1人当たり平均年間出品数は約72個で、20代の39個と比較して約2倍。利用者数は20代が圧倒的に多いため単純比較が難しいという前提はあるが、所有している物が多く、出品意欲が高い。「いつ何が起こるかわからない」という危機感も加わって、終活や生前整理としての役割も果たしている。
メルカリはかねてから誰でも簡単に使いやすいユーザーインターフェイスを重視しており、それが高齢者の需要を掘り起こすことにつながっているのだろう。あるアパレルECも、コロナ禍で40~60代の利用者が増加したため、「今後はより丁寧で分かりやすいサイト設計が求められる」と強調する。
(藤)