《視点》技術の承継

2021/11/12 06:23 更新


 あるジーンズカジュアルメーカーの展示会で、新ブランドの取材をした。縫製職人の技術を生かす形で、多少不揃いであっても魅力の詰まった服作りを目指した。この間スムーズな物作りを優先してきた反動もあり、実現に相当時間がかかったそうだ。

 ふと思い浮かんだのが約4年前に取材した国内シャツ工場。年間80万枚以上生産していたが、工賃の安い海外へ注文が流れ、存在価値が問われることに。00年代前半、思い切って「逆に技術を閉じ込めてしまっていた」自動ミシンを排除し、もう一度付加価値の高い物作りに注力していた。

 大学生の頃、友人とレーシングカートで走った。エンジンむき出しの車体で、運転方法はシンプルだが、速く走ろうと無理をすれば即スピン。運転の基本と奥深さ、楽しさを実感した。繊維・アパレルの物作りも、原点がしっかりあってこその部分は大きいだろう。そして、これからはもっと柔軟な物作りが問われていくのだと思う。

 今年10月、岡山県倉敷市周辺一帯の繊維産業の技能継承を目的に創設された繊維マイスター認定制度の第3回認定式が行われた。高い技能の伝承者であるマイスター、高い技能の継承者プレマイスターに計27人が認定された。若手への技術の承継を大いに期待したい。

(畔)


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