この間、中小・個人企業の取材で「環境配慮型の意匠を凝らした素材や副資材が少ない」「サステイナブル(持続可能な)素材を仕入れたくても、ロットが足りずに発注できない」などの話が頻繁に出る。今年リブランディングしたあるアパレルブランドは「若い世代が気軽に社会や環境課題と向き合うきっかけを作りたい」との志を持つが、前のブランドの時に素材調達とコストの問題で一度活動を休止している。
サステイナブルな商品は小売価格が高くなりがちだが、「コロナ下で経済が冷え込んで生活が苦しくなり、環境に優しい商品を購入する余裕がなくなっている」との危機感もあらゆる場面で聞こえてくる。
最近、グリーンウォッシュに敏感な消費者や投資家が増えている。だからというわけではないが、自社で管理しきれないことが多く、他社を信用するしかない小規模な企業にとって、どこまでトレーサビリティー(履歴管理)が徹底されているか、定量的な根拠をもってサステイナビリティーを訴えられるのかも大きな悩みどころである。
環境や社会、企業の未来を考えればサステイナビリティーへの取り組みは必須で、環境改善のために求められているのは消費者の意識改革なのだと思う。課題は山積しているが、今こそ互いに手を取り合い、その一歩を踏み出す時なのではないかと感じている。
(麻)