ここ2年のコロナ禍で和装業界も甚大な影響を被っている。呉服店への集客が激減するなか、一部催事は好調なことから、売り上げの催事偏重に拍車がかかる状況。店頭向けの商品の生産基盤への影響が懸念され始めている。そうした中でも、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた取り組みが増えている。
ある和装小物メーカーは、生産者の都合で生産が止まっていた唐織りの組みひもを、生産者への打診で1年以上かけて商品化に成功した。商売が滞った期間を生かして、従来は当たり前にあったのに途絶えていた商品を復活に導いた。
自社商品のブランド化を推進してきた京友禅メーカーは、30年ぶりにブランド戦略の大幅な見直しに着手した。昨今の環境変化で人の流れや消費マインドなど様々なことが〝変わった〟と直感し、ほぼ未着手だったBtoC(企業対消費者取引)の販路開拓を本格化しつつある。
大手チェーン店は、ライブコマースを含むネット販売を本格化させたり、各地の自治体で成人式が中止になるなか、きもの姿を写真で残す無料の撮影会を全国数カ所で開くなどの動きも広がっている。思うような動きがとれない時期に、その期間を生かす取り組みや、ユーザーの思いに応えることこそ、業界を支える働きとなりそうだ。
(昌)