コロナ禍以降だろうか。レディスアパレルで、特定のシーンだけでなく「〇〇にも使える」といった着回しがより重視されるようになったのは。今春夏もオケージョン服やゆかた、水着などの企画のほとんどが日常着としても着られる点を売りにしている。
一方で、「〇〇用」とシーンを特定したからこそ、支持されている商品もある。推し活の〝参戦服〟と〝空港ファッション〟だ。豊富な色展開で〝推し〟のメンバーカラーに合わせて着られる参戦服。そして、韓国アイドルが空港でパパラッチされるラフなスタイルを発端とした空港ファッション。
そもそも、それ自体がエンターテインメント化しているところがあるが、使用シーンや対象者をさらに絞り込み、ニッチなアイテムにした点が支持されている。
多くの人に向けた服は、それだけ客数は取れるが、爆発的なときめきにつながりにくい。例えば、あるブランドがホテルでのバカンスを想定した〝ホカンス〟に向けて露出が控えめの水着を提案し、魅力が分かりやすく伝わってヒットした。誰に向けての服か。その顔が浮かぶかどうかが、キーになっている。
(音)