《視点》人は城なり

2025/04/24 06:23 更新NEW!


 「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、あだは敵なり」。戦国武将・武田信玄の言葉の一節だ。三陽商会の大江伸治社長は、この言葉を一部引きながら企業における人材の重要性を説く。

 新中期経営計画では、〝非財務価値〟として人的資本への投資強化を打ち出した。「個の能力の最大化」と「多様な知識・経験の融合によるシナジー創出」を通じて、組織全体の総合力を高める考えだ。

 オンワードグループの入社式では、保元道宣社長が「グループ内には多様な事業があり、それぞれに適した業務がきっとある。生涯を通じて活躍してほしい」と語った。社員に長く働いてほしいという経営者の思いがにじむ。

 キャリア観が多様化するなかで転職を選ぶ若者も目立つ一方、長く一つの会社で働きたいと考える人も一定数いるだろう。企業にとっても社員が長く働いてくれれば、一人ひとりへの成長投資を計画的に進めやすくなる。

 長期的な関係を築ける人材をどう迎え入れ、育て、活躍の場を用意するか。人を大切にする姿勢こそが、企業の守りとなり、力となる。

(平)



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