伊ビエラの毛織物企業、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(カノニコ)は2月、使用する豪州羊毛の品質維持を目的に、「ウール・エクセレンス・クラブ」を発足した。技術提供や情報交換などを通じ、牧羊業者との関係を強化する。
同社は昨年、「牧羊業者の努力が経済的な見返りとなって還元されないならば、生産する繊維の品質低下を招きかねない」とし、羊毛の競売時の最高限度額引き上げといった購入方針の改正とともに、「ウール・エクセレンス賞」を設けた。サステイナビリティー(持続可能性)と品質向上に努める牧羊業者を表彰するもので、優勝者には、当該期間のカノニコへの販売額と同額の賞金が贈られる。14年の賞金は約3万5000豪㌦に上った。
同社と業者、業者間の結束を強めることを目指し、設立したのが、ウール・エクセレンス・クラブ。ウール・エクセレンス賞の最終候補者、同賞の応募資格を満たし、入会申請した業者、ウールの買い付け期間に同社が誘致した業者が加盟できる。加盟者は、競売時に市場価格より高額で取り引きできるほか、カノニコのウール鑑定士による技術供与、ウール市場のスペシャリストが出席する会合や、牧羊業者間のネットワークに参加できる。
カノニコは、紡績から整理まで全工程を伊で一貫する大手毛織物企業。14年の生産量は750万㍍、売上高は前年比8%増の1億1600万ユーロだった。