Vogue Paris Fashion Festival総まとめ(WGSN)

2018/12/12 15:00 更新


Vogue Paris Fashion Festivalが11月にパリで開催された。ラグジュアリー業界の関係者が一堂に会し、未来への戦略的なアプローチについて話し合った。 「ファッションの新たなフロンティア」というテーマを掲げ、ラグジュアリーの概念が変化する中、業界の視野を広げていくことを目的とする。

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Virgil Ablohや、RimowaのCEO Alexandre Arnault、LVMHのCEO Sidney Toledano、インフルエンサーChiara Ferragniなど、多彩な顔ぶれが参加したVogue Paris Fashion Festivalは、業界関係者、インフルエンサー、ジャーナリストなどに向けて豊富なインスピレーションを提供するプラットフォームとして重要な役割を果たす。

WGSNは今回のイベントの全容を5つの要点にまとめた。

 ラグジュアリーの再定義

 ミレニアル世代とZ世代は2025年までにラグジュアリー消費者の45%を占めるようになるとBain & Companyは報告する。ラグジュアリー市場は著しい変化を遂げている。世代から世代へと引き継がれるような価値の高いものを購入するよりも、自分を高めるため、自分へのご褒美のため、自分が喜びを得るために購入を決める消費者が増えている。

 今の時代におけるラグジュアリーとは何か? 「感情的な価値であり、消費者とのつながりを作ること」がラグジュアリーであるとVirgil Ablohは考える。ラグジュアリーは利便性に優れ、誰もが欲しがるものであるべきで、単なるLevi’sのヴィンテージジーンズもAblohにとってはラグジュアリーであるそうだ。つまり値段ではなく、希少性が価値を決める。例えばHermesのトランクを失くしたとしても同じものを手に入れることができるが、トランクの中にしまったLevi’sのヴィンテージは再び手に入れることができない。

「ラグジュアリーという言葉は値段と関係すると考えられがちだが、ラグジュアリーとはつながりを作ることであり、クオリティを意味します」とAlexandre Arnaultは指摘する。Christian Diorのバッグも30ユーロのMoet & Chandonもラグジュアリー品である。一例として、Appleは新機能の良し悪しにかかわらず、誰もが欲しがるような製品を生み出している。


実店舗は消滅するのか?

例外はあるが、答えはノーである。Bain & Companyによると、2025年になっても実店舗はラグジュアリー品の売上の75%を占めるそうだ。

しかし、ブランドの顔として実店舗を見直す必要がある。長い間、実店舗は商品ディスプレイにより購買欲をそそることを目的としてきた。これからの実店舗はインタラクティブであるべきだ。遊んだり、学んだり、何かを体験する場所でなければならない。この点においてもラグジュアリーブランドはAppleを参考にすると良いだろう。Off-Whiteの実店舗はそれぞれ特徴が異なる。その街の文化的背景や建築に馴染むようにデザインされている。若い世代の人々は実用性の高さを重視する。型破りなアイデアを求めながら、それ以上に至極便利であることを望むのだ。

ビューティー業界も実店舗の重要性を認識している。Gucci、Burberry、Prada、Marc Jacobsなどのビューティーラインを手掛けるCoty Luxuryは、現在販売チャネルの見直しを図っており、ラグジュアリーブランドらしい香水のイメージを表現する販売チャネルのみに絞り込んでいる。

ECとラグジュアリー:2つの異なる世界

Sidney ToledanoはECをEリテールと呼ぶ。デジタル世界においてラグジュアリーを生み出すのは難しい。そこでLVMHはECをエクスクルーシブで一流のものにしようと積極的に取り組んでいる。リスクを避けるため、マイペースに開発を進めている段階だ。

Keringはラグジュアリー業界の草分け的存在であるとチーフクライアント&デジタルオフィサーGregory Boutteは述べる。それはひとえにラグジュアリーは「常に動いている」と考えるKering会長Francois Henri-Pinaultのおかげだ。2018年第3四半期において、Keringはオンライン売上80%増を実現した。これはスタートアップと同じくらいのレベルである。各ブランド(Gucci、Saint Laurent、 Balenciagaなど)の自主性を重んじること、その他の業界の成功事例に目を向けることにより、同社は強みを発揮する。最近Boutteはデータサイエンス部門を立ち上げた。

インフルエンサーの未来

インフルエンサーの力は否定できない。Chiara Ferragniが結婚式でChristian Diorのドレスを着用したことにより、デジタルメディアでChristian Diorへの注目度が急上昇した。FerragniもDiorのデザイナーChiuriもこれほど影響が大きいとは予想していなかっただろう。

Arnaultによると、憧れを抱かせるよりも、人を奮い立たせるようなセレブリティインフルエンサーが必要であるそうだ。LVMHのキャンペーンは、セレブリティの顔とラグジュアリー品を主体としたイメージを採用するのをやめた。今重要なのは、セレブリティがライフスタイルを再現することである。つまり空港でRimowaのスーツケースを持つBella Hadidの姿は、より大きな反響を呼ぶのだ。

「消費者は偽りを見抜くことができる」と彼は考える。ラグジュアリーブランドはインフルエンサーに報酬を払うマーケティング方法を避けるべきだ。自然発生的な出来事が大きな成功につながるのだ。AlibabaのTmall Luxury Pavilion調査によると、中国ではブランドウェブサイトがラグジュアリー品の主な情報源であり、ラグジュアリー品の購入に影響を与える。「今の消費者はただ受け取るだけでなく、メッセージを伝える役割を持つのです」とAlexandre Arnaultは述べる。

ロゴブーム


ミレニアル世代はストリートウェアに夢中であり、手頃なラグジュアリーを求めている。この要望に応えるために、今トレンドのロゴデザインの展開を考えるブランドは少なくないだろう。しかしToledanoによると「ロゴには意味があるべきであり、ロゴだけがブランドの表現手段であってはならない」そうだ。ロゴはブランド要素の1つである。しかしブランドロゴの製品は比較的真似しやすいため、模倣品が多い。「ラグジュアリーアイテムは非常に質が良く、オリジナリティがあるべきです」と彼は言う。

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