Z世代は世界で最も大規模な世代になりつつある。今こそ消費者としての彼らの特徴を徹底的に理解するべきである。最近行われた調査では、これまで考えられてきたZ世代のイメージとは対照的な新たな側面が明らかになった。
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アメリカでは1600万人の大学生が9月に新学期を迎える。今年の新学期シーズンは近年で最も盛り上がりを見せた。この調査によると、意外なことにZ世代はアナログとデジタルの両方の要素を持ち合わせているそうだ。
学生アフィニティネットワークUNiDAYSとAd Age Studio 30は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの17歳から23歳までの大学生2万3000人を対象に調査を実施し、Gen Z: Decoding the Digital Generation(Z世代:デジタル世代を読み解く)というリポートを発表した。
フィジカルVSデジタル
彼らがどこで何を買っているのか調べたところ、Z世代とデジタルテクノロジーの関係性が思ったよりも複雑であることがわかった。生まれてからずっとネット環境の中で育ってきたにもかかわらず、テクノロジー利用やショッピングに関しては昔ながらの方法を選ぶZ世代が少なくないのだ。
例えば、Z世代の98%がスマホ所有者であるが、スマホを使ってオンラインで購入する人はわずか22%にとどまり、多くのZ世代が実店舗でブランドと触れ合うことを好む。
また、紙の本を読むZ世代も少なくない。調査対象者の77%は印刷本を好んで読むと答え、Z世代はモバイル&デジタルのみを利用し、VRに傾倒するという仮定を覆した。
動画コンテンツに関しては、調査対象者の61%が完全にストリーミングサービスに切り替えたと答えたが、28%は今でもケーブルテレビの有料サービスを利用し、32%が通常のテレビ番組を視聴すると答えた。
デジタルデバイスに関しては、93%がラップトップパソコンを所有し、タブレット端末の所有者は44%にとどまった。アメリカでは、対象学生の41%がラップトップでストリーミング配信を視聴するのを好み、60%がオンラインで購入する場合は従来のコンピューターを利用するのを好むと答えた。また、40%がブランドに問い合わせるときはEメールを好むと答えた。
Z世代は自分の生活を積極的にネットでシェアすると思われているが、これに関しても意外な結果が示された。この世代は生活の細かい部分までソーシャルメディアに投稿するというイメージがあるが、60%が個人データの扱いに関してFacebookを信用していないと答え、78%がいくつかのアプリでは位置情報を許可するが全てのアプリで位置情報を許可することはないと答えた。
「マーケターにとって最も重要なポイントは、デジタルファーストのように見えるZ世代が実はアナログな習慣を持っているということです」とUNiDAYSのCMOを務めるAlex Gallagherは述べる。「例えばZ世代はネットブラウジングが大好きですが、今でも実店舗でのショッピングを楽しみます。彼ら独自の傾向に合わせるには、ブランドはオンラインとオフラインにおいて一貫性のあるストラテジーを打ち出すことが重要になります」
このリポートによると、一般的なマーケティングで語られ、私たちが信じてきたイメージとは異なり、Z世代は複雑であり、より一元的であるそうだ。4ヶ国のZ世代を対象に調査したが、全てが似たような傾向を示したという。
住んでいる場所に関係なく、Z世代はデジタルをうまく使いこなす。しかし、生活の全ての面において完全なデジタルを好むわけではないのだ。
Z世代の98%がスマホを所有し、ラップトップコンピューター所有者も多く、特定のデジタルデバイスが必需品であることは確かであるが、スマートウォッチ所有者はわずか14%で、フィットネストラッカーの利用者はわずか18%だ。スマートウォッチは値段が高いためかもしれないが、フィットネストラッカーは値段が理由ではないだろう。ただ単に、まだ必須であると考えられていないだけだ。それは年齢のせいでもある。Z世代はまだ若く、普通に生活しているだけで健康を維持でき、運動のモニタリングをする必要を感じていないのだ。
Z世代の心をつかむには
インターネットが生活を支配し、常に広告やメッセージが押し寄せてくる環境にいる彼らは、大抵の場合、気になるもの以外のデジタルコンテンツは無視する。64%はポッドキャストを聴かず、56%はウェブサイトを見ているときに広告をクリックしないが、屋外広告には84%が目を向ける。
「ソーシャルメディアを通じたZ世代とのエンゲージメントは一般的すぎて失敗が目に見えている。それはショッピングモールはベビーブーマー世代やサイレント世代とのエンゲージメントに良いと言っているようなものだ。良い提案ではあるが、もっと具体的にするべきである」と同リポートは指摘する。
「Z世代について具体的に考える必要がある。彼らはネット広告に関心を持たないかもしれないが、84%が、電車、ショッピングモール、空港、タクシーといった広告がよくある場所でのデジタル広告に目を向けると答えた。つまり、オンラインであろうとオフラインであろうと、Z世代は至る所でブランドとのエンゲージメントを深める可能性があり、ひとつのアプローチが全てのZ世代にとって効果があるとは限らない」
影響力と購買力が高まるにつれ、Z世代は無視できない存在になる。Z世代についてもっと知るには、WGSNのホワイトペーパー「Z世代の方程式」をダウンロード。
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