身近すぎる言葉「ブランド」④ ブランディング㊦

2017/06/25 06:15 更新


ブランディングが必要な理由はわかりました。消費者に安心や信用、特別感や満足感を持ってもらうため、でしたね。では、どうしたらブランディングできるのでしょうか?

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誰を狙ってどんな商品を作るのか、からブランディングの全てが始まります。具体的な手順は国内のブランドを例に説明したいと思います。ただその前に、日本におけるブランドの変遷をおさらいしておきましょう。

海外有名ブランドは日本法人も作るケースが多いのですが、本国のグローバル戦略に基づいてブランディングが行われています。現在では日本人が直接、ブランディングの中枢に入ることはあまりないからです。

日本の場合、洋装文化が既製服として定着したのは、1945年に終結した第2次世界大戦後です。欧米でもオートクチュールのデザイナー全盛期で、日本のメーカーなどは競ってこうしたデザイナーとライセンス(商標使用権)契約を結びました。その歴史は長く続き、日本発のオリジナルブランドが本格的に増えてくるのは、90年代に入ってからです。


終戦後、海外の既製服ブランドのライセンスを生産・販売する時代が長く続いた

理由は、海外のブランドが日本企業とのライセンス契約を解除し、直接日本法人を作って輸入製品を売るようになっていったからです。当時はまだ、日本の中産階級、あるいは中間所得層の割合が高く、ファッション製品は主に百貨店が扱っていました。その百貨店では多くの日本のアパレルメーカーが海外ブランドのライセンス製品を販売していたので、契約解除は非常に大きな影響を与えました。


恐慌を機に、ビジネスモデルの変更を強いられた

しかも、89年秋のニューヨーク株式市場の暴落に端を発した世界的な景気後退は、90年秋には日本も襲います。そこで、日本の多くのアパレル企業は、海外ブランドのライセンスに代わる新しいブランドの開発、そして、生産した商品を備蓄して売り減らすようなビジネスモデルからの脱却に迫られました。

今、みなさんがよく耳にする「SPA(製造小売業)」というのは、こうした時代に作られたビジネスモデルです。そして、こうした新しい仕組みによって、新しいブランドが次々に作られていきました。

(続く)



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