ワールドが通期予想を上方修正 ブランド事業が増収

2019/11/08 06:30 更新


上山社長

 ワールドは、20年3月期連結業績(IFRS)予想を上方修正した。下期は期初の計画値をほぼ据え置いており、上期の上ぶれ分を通期業績に反映した。とくに収益性を高めているブランド事業が増収、コア営業利益が2ケタ増の計画で、連結業績を引き上げるとみている。通期連結業績は、売上収益が0.4%増の2509億円(期初計画に対し9億円の増加)、コア営業利益10.6%増の180億円(同5億円の増加)を見込んでいる。

(吉田勧)

【関連記事】ワールド ラクサス・テクノロジーズを子会社化

 「ブランド事業は〇に近い△、プラットフォーム(PF)事業は〇、デジタル事業は厳しめの△、グループ全体では△でまだまだこれから。伸び代は大きい」。上山健二社長は上期の各事業をこう総括した。

 ブランド事業は、売上収益1.7%増の1074億円、セグメント利益97.5%増の44億円の大幅増益となった。値引き販売の削減など「IT活用による生販コントロール」が成果を上げており、苦戦していたSC主体のミドルロワーセグメントが8億円以上の増益、百貨店主体のミドルアッパーが4億円以上の増益となったほか、開発・改革、M&A、ライフスタイル、海外の各ブランドセグメントも増益となった。ブランド鮮度検討会を開催するなど「ソフト開発機能再構築」やCRMプロジェクトに取り組んでいること、生販コントロールの成果の継続などにより、同事業の通期業績は売上収益1%増の2265億円、セグメント利益24%増の115億円を見込んでいる。

 PF事業は減収減益で、通期も売上収益13%減の124億円、セグメント利益21%減の13億円の見込みだが、PFの有効性を示すブランド事業の利益改善やPF間連携を目的にした「PF事業推進室」の新設による高収益案件の受注などを評価している。外部企業のPF活用の要望が広がっており、「ビジネスモデルの仕組み化と受託キャパの拡大」に取り組む。

 デジタル事業の通期は、売上収益が16%増の274億円、セグメント利益は49%減の4億円の計画。投資先行が継続するためで、システム刷新の下期中の完成が最重要課題としている。サブスクリプション、2次流通、カスタムオーダーなど、この間進めてきた「B2Cネオエコノミー」への事業領域の拡大は「いったん完了」し、各事業の収益基盤の確立と事業成長を重点にする。

 同社は今期を「トランスフォーメーション・フェーズの最終年」と位置付けており、事業構造改革の完成度を高める方針だ。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事