縫製工場の多くはOEM(相手先ブランドによる生産)の注文を受け、縫製工賃を主な売り上げ・収益の柱とする。縫製工場のダブルエックスデベロップメントはOEMによる委託加工を徐々に減らし、現在はゼロ。三つの自社ブランドのDtoC(消費者直販)で売り上げを作り、経営を成り立たせている。ブランドのファンは国内だけでなく、欧州や米国など海外にも広がっている。「我々は縫製工場ではなく、小売業・サービス業と思っている」と強調する戸谷太一社長の言葉に、アップデートした縫製業の姿が見える。
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オペレーターが輝く道を選ぶ
――OEMをすべてやめ、自社ブランドの物作りに集中している。
急だと取引先に迷惑がかかるので、加工賃ビジネスをやめることは少しずつ話をしてきました。徐々に減らし、昨年4月でOEMはゼロになりました。
理由は、自社ブランドを作ることに集中し、自分たちの技術をより高く売ることが出来るのであれば、そちらに力を入れたかったから。働いてくれているミシンオペレーターの価値を最も高められるのがその道だと思っています。
服を作っているのはうちのミシンオペレーターなのにもかかわらず、OEMだと一人ひとりの役割がどうしても薄くなってしまう。それにOEMを主体にして企業を成長させていこうとすると、人をどんどん増やさないといけない。仕事に対する思いがどれだけあっても、製品を作ること・あげていくことに重きが置かれてしまう。縫っている社員が悩んだり、考えたりする意味が無くなってしまう気がします。「それは本当の意味でメイド・イン・ジャパンと言えるのか?」という自問自答もありました。
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